NASAの「DSN」(ディープスペースネットワーク)とは? 宇宙探査機の通信網:NASAとMicrosoftがDSNで進めるクラウド協業の中身【前編】
NASAのジェット推進研究所(JPL)は、宇宙探査機の通信網である「ディープスペースネットワーク」(DSN)を運用している。DSNはどのような役割を果たしているのか。
Microsoftで量子コンピューティングのクラウドサービス「Azure Quantum」を担当するチームは、NASA(米航空宇宙局)のジェット推進研究所(JPL)に協力している。JPLは、宇宙探査機の研究開発や運用を手掛ける組織だ。
宇宙探査機の通信網「DSN」とは
NASAは宇宙探査機をはじめとした宇宙ロボットとの通信に、「ディープスペースネットワーク」(DSN)という通信網を用いている。DSNは地球上に約120度間隔の等距離で設置された、3つの施設を拠点とする大型アンテナの集合体だ。JPLはDSNに加え、NASAの宇宙ロボットを用いた複数の宇宙ミッションを運営している。
JPLはコマンド実行システム「DSN Command System」を使用して、宇宙ミッション中の宇宙探査機の活動を制御している。DSN Command Systemは、コマンドをファイルとして宇宙探査機に送る。宇宙探査機は一連の動作として、そのファイルを実行する。
宇宙探査機は太陽系の奥地を探索するたびに、無線信号経由で地球に、自らの状態や観測データといったテレメトリデータを送信する。DSNはこのテレメトリデータを取得し、処理やデコード(復号)、配信を実行する。衛星と惑星の内部探査といった科学調査を支援するための機能も提供する。
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