半導体不足の中でIntelが出した戦略は冒険なのか、手堅いのか?:Intelが半導体製造で本領発揮?【後編】
新戦略を掲げるIntelは、イスラエルのファンドリー企業を買収するという攻めの一手を出した。半導体の供給不足の中で発表されたこの買収で、同社が狙う業界ポジショニングが見える。
Intelは、イスラエルの半導体製造企業Tower Semiconductorを買収すると2022年2月に発表した。この買収によって、Intelは半導体製造能力を増強すると同時に、世界的な半導体不足に対処するための拠点を拡充できる。
この買収は、単に製造能力や拠点数を拡大するだけではなく、Intelにとってより重要な意味を持つ。特に関係が深いのは、同社のビジネスモデル「IDM」(垂直統合型デバイス製造)を進化させる「IDM 2.0」だ。
半導体製造企業としてのIntelの姿 戦略はどう出るのか?
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2021年3月、IntelはIDM 2.0の取り組みの一つとして半導体の受託製造(ファウンドリー)事業である「Intel Foundry Services」(IFS)の開始を公表した。この事業は、Tower Semiconductorの買収によって弾みがつくと考えられる。Intelはファウンドリー事業を通じ、半導体製造工程におけるウエハー処理やパッケージングの技術を米国や欧州の市場で提供する。その後は他の地域での市場進出も計画している。
Intelのファウンドリー事業は「x86」「Arm」「RISC-V」といった一般的な命令セットアーキテクチャのCPUが中心だ。だが調査会社Futurum Researchのアナリストで、メディア企業Broadsuite Media GroupのCEO(最高経営責任者)を務めるダン・ニューマン氏は、「Tower Semiconductorの買収でIntelには特殊分野における技術的な地盤ができる」と解説する。ニューマン氏によると、Tower Semiconductorは45〜250ナノ製造プロセスの半導体に照準を絞っている。この市場は世界的な半導体不足の中でも、特に供給が足りていない。
Tower Semiconductorの買収は、世界中に半導体製造拠点を開設するというIntelの戦略に沿っている。Tower Semiconductorは米国とアジアに工場を持ち、ファブレス(製造施設なし)企業に製品を供給している。「急成長が続くファウンドリー市場でのIntelの競争力は高まる」とニューマン氏は指摘する。
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