Web会議の「音声、映像、通信」を改善するためにIT部門は何ができる?:Web会議の「不公平な壁」をなくす5つのヒント【第4回】
Web会議の音声や映像の乱れは、参加者のストレスの元だ。テレワークおよびWeb会議の効率を高めるために企業が従業員に提供すると望ましいものについて解説する。
第3回「快適な『ハイブリッド会議』にオンラインホワイトボードが“効果あり”な理由」は、ハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態)や「ハイブリッド会議」(オフィスからの参加者とリモートでの参加者が混在するWeb会議)を実施する際に、従業員同士の公平なコミュニケーションを実現するためのヒントを2つ紹介した。本稿は、「Webカメラ、マイクの導入でWeb会議の映像、音声品質を高める」「従業員の自宅で利用するネットワーク品質の改善を支援する」の2つのヒントを紹介する。
- ヒント1.会議室にハイブリッド会議用の設備を導入する(第3回で紹介)
- ヒント2.デジタルホワイトボードを導入する(第3回で紹介)
- ヒント3.Webカメラ、マイクの導入でWeb会議の映像、音声品質を高める
- ヒント4.従業員が自宅で利用するネットワーク品質の改善を支援する
- ヒント5.ハイブリッドワークに合わせて企業の文化を変える(第5回で紹介)
ヒント3.Webカメラ、マイクの導入でWeb会議の映像と音声品質を高める
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連載「Web会議の『不公平な壁』をなくす5つのヒント」
- 第1回「オフィスワーカーもテレワーカーも不満を抱くWeb会議になってしまう残念な理由」
- 第2回「テレワーク拡大で『Web会議』を進めやすくなったのはなぜ?」
- 第3回「快適な『ハイブリッド会議』にオンラインホワイトボードが“効果あり”な理由」
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サードパーティーベンダーが提供する高品質なPC周辺機器を使って、対面に近いWeb会議体験を従業員に提供することで、コミュニケーションの公平性を改善できる可能性がある。GN Audio(Jabraの名前で事業展開)、Plantronics(Polyの名称で事業展開)、Logitech Internationalなどの専業ベンダーが提供するWebカメラやマイクは、一般的にノートPC内蔵のものより映像や音声の品質が高い。さまざまなベンダーが、自動露出補正の機能を持つWebカメラや、環境音のノイズを抑える機能を持つマイクを販売している。
調査会社Metrigyのプレジデント兼プリンシパルアナリストであるアーウィン・レザー氏は「顧客と顔を合わせる機会が多い従業員のためには、企業は性能の良いWebカメラをデスクに設置することを検討する」とみる。企業によっては全従業員に良いカメラを導入する可能性もあるとレザー氏は予測する。高度な機能を備えたPC周辺機器を導入する場合は、活用方法を知ってもらうための従業員教育も重要だ。
企業にとって今後の課題は、普段はテレワークをする人がオフィスに来た時のためにWeb会議用の周辺機器を用意するかどうか、用意するならどのように提供するかという点だ。ノートPCを持って出社する従業員のために、貸し出し用のWebカメラを収めた専用ロッカーを設置するのがよいのか、共有デスクの全てにWebカメラを置いておくのがよいのか――。レザー氏は「企業は従業員が何を求めているのか、まだよく分かっていない」と推測する。
ヒント4.従業員が自宅で利用するネットワーク品質の改善を支援する
Custom Neon共同設立者のジェス・マンデー氏は「Web会議で最も問題となるのは、テレワーカーのネットワーク接続速度の遅延や、接続状態の悪化だ」と語る。同社は、照明と看板を製造・販売するグローバル企業だ。マンデー氏によると、ネットワークの問題は、従業員が旧式のインターネット接続プランを利用していたり、地域によって通信速度が遅かったりすることが原因の場合がある。「必然的に、ハイブリッド会議に参加する能力は平等ではなくなる」(同氏)。この問題を回避するために同社は、従業員向けにモバイルデータ通信インフラを支給して、安定してWeb会議に接続できるようにした。「モバイルデータ通信量の上限が以前よりもはるかに大きくなったのはよかった」と同氏は話す。
人物検索サイトを運営するPeopleFinderFreeの共同設立者イーデン・チェン氏も同様の取り組みをしたと語る。同社は、安定した接続に必要なデバイスとインターネットサービスを従業員に支給した。チェン氏によれば、IT部門がネットワーク接続ガイダンスや技術的な支援をテレワーカーに提供できるように体制を整えた。
接続性の改善という点では、ネットワーク管理者がWANの最適化をしたり、SD-WAN(ソフトウェア定義WAN)を導入したりするのは一つの方法だ。Amazon Web Servicesのストレージアプライアンス「AWS Snowball Edge」といった、大量のデータをクラウドサービスのインフラに高速転送できるエッジコンピューティング技術を使えば、テレワーカーがクラウドサービスを利用する際の遅延を軽減するのに役立つ可能性もある。
十分な速度のモバイルデータ通信ができない環境で従業員がテレワークをしている場合、クラウドベンダーと衛星インターネットサービス事業者が連携することで状況が改善する可能性がある。宇宙開発事業を手掛けるSpace Exploration Technologies(SpaceX)の低軌道衛星プロジェクトは、衛星を使った高速で低遅延のブロードバンドサービスの提供を目指しており、将来的には宇宙でのエッジコンピューティングの実現を視野に入れている。
第5回は、ハイブリッドワークを続ける上で見直したい「企業の文化」について解説する。
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