もはや限界のCPUに代わる「DPU」「スマートNIC」とは何か?:プロセッサベンダーが競う次の分野【後編】
IntelやNVIDIAに続き、AMDが「スマートNIC」や「DPU」の分野に参入することになった。各社の狙いはどこにあるのか。プロセッサは今後、どう変わろうとしているのか。
プロセッサベンダーのIntelやNVIDIAは、プロセッサを搭載するネットワークインタフェースカード「スマートNIC」や、スマートNICのプロセッサ「DPU」(データ処理装置)の分野を強化してきた。AMD(Advanced Micro Devices)は、スマートNICベンダーのPensando Systemsを買収する戦略に打って出た。ベンダー各社は、プロセッサの何を変えようとしているのか。
CPU役を代替する「DPU」「スマートNIC」とは何か?
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「スマートNICはインフラの伝統的な構築方法を変える」。調査会社IDCでインフラストラクチャプラクティス部門のグループバイスプレジデントを務めるアシシュ・ナドカルニ氏は、こう言い切る。
AMD、Intel、NVIDIAがスマートNIC分野を重視していることは同じだが、ナドカルニ氏によれば各社の観点は異なる。AMDが買収したPensandoはネットワーク分野、NVIDIAはAI(人工知能)技術分野、Intelはリアルタイムのテレメトリー(アプリケーション稼働データの収集や監視)やAI技術分野に特化している。
「スマートNICを使用すれば、データを収集・分析し、ネットワークで何が起こっているのかを容易に把握できるようになる」。技術動向を扱った書籍『Building a Future-Proof Cloud Infrastructure』の著者で、Pensandoのフェローを務めるシルヴァーノ・ガイ氏はこう説明する。ネットワークタップ(ネットワークの分岐装置)を使ったミラーリング(同一のデータを分析させること)による監視も、スマートNICの主要な用途になるとガイ氏は話す。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリストであるボブ・ラリベルテ氏は、「AMDはPensandoの買収によって、サーバへの影響を最小限にしてサービス提供のインフラを分散させる方法を手に入れた」と語る。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksは、Pensandoの製品を搭載したスイッチ「Aruba CX 10000」シリーズを提供している。このスイッチを使うことで、サーバを交換したり、スマートNICを追加したりすることなく、ネットワークやセキュリティの機能を追加できる。「サーバに変更を加えることがなければ、既存のデータセンターを混乱させることはない」と、ラリベルテ氏は言う。
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