「ランサムウェア対策」が中小企業で進まない残念な事情――ベンダーが語る:小規模オフィスも狙うランサムウェア【前編】
ランサムウェアによる脅威は大企業だけではなく、中小企業にも迫っている。データ保護の強化が求められる中、中小企業はどのような選択が可能なのか。Unitrendsの新製品発表が参考になる。
バックアップツールベンダーのUnitrendsは2022年2月、企業がランサムウェア(身代金要求型マルウェア)に対抗するための製品・サービスを発表した。Unitrendsは、システム管理ソフトウェアベンダーKaseyaの傘下企業だ。
Unitrendsが発表したのは、中小企業向けに提供する卓上サイズのデータ保護アプライアンス「ION」および「ION+」(以下、IONシリーズ)だ。同社はこれに合わせて、データ保護のトレーニングプログラム「Cyber Assurance Program」も発表した。これはランサムウェアからデータを保護する方法をユーザー企業に教えるためのプログラムだ。
「企業はランサムウェアの大きな脅威に直面している。それはデータ保護の在り方を変えている」と、米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリスト、クリストフ・バートランド氏は指摘する。
ランサムウェア対策は必要でも、実現できない中小企業
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Unitrendsのゼネラルマネジャー、ジョー・ヌーナン氏は「小規模オフィスで働く人たちは、拠点にあるデータを何らかの形で保護する対策を求めている」と説明する。その対策は簡単ではない。設置スペースの制限、維持管理の手間、機器から出るノイズなどを考慮すると、ラックマウント型の機器を小規模オフィスに設置することは現実的ではないからだ。
小規模オフィスでも、クラウドサービス型のデータ保護であれば設置スペースや管理作業を気にせず利用できる。ところがヌーナン氏によれば、中小企業は拠点でのバックアップと復旧を望む傾向が強いという。そのニーズに応えるための製品がIONシリーズだ。「拠点にインフラがあれば、迅速な復旧が可能になる」と同氏は語る。
IONシリーズは、Unitrends製のより大型のデータ保護アプライアンスである「Recovery Series」と同じソフトウェアを使用しており、復旧に関する機能は同じだ。Unitrendsのクラウドサービスと連携させることもできる。
ハードウェア面のIONの特徴は小型であることだ。約10センチ四方の筐体(きょうたい)を使用しており、
- 最大1TBのNVMe(Non-Volatile Memory Express)接続SSD
- 最大8GBのRAM(メインメモリ)
- 4コアのプロセッサ
- 1個のイーサネットポート
を搭載する。
ION+は小型のデスクトップタワー型の筐体を採用している。IONより筐体が大きく、
- 最大8TBのHDD
- 32GBのRAM
- 16コアのプロセッサ
- 2個のイーサネットポート
を搭載する。
ヌーナン氏は「中小企業が選択可能なラインアップを用意した」と述べる。
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