「脱テレワーク」「出社義務化」を強行した企業が払う“最悪の代償”:Teslaの「テレワーク廃止」宣言が求人に及ぼす影響は【後編】
TeslaのCEOイーロン・マスク氏が従業員に向けて、今後はテレワークを認めない方針を示したことが波乱を呼んでいる。専門家の見解は。
電気自動車(EV)メーカーTesla(テスラ)のCEOイーロン・マスク氏は、2022年5月末に従業員宛てのメールで「今後はテレワークを認めない」という方針を示した。専門家は「マスク氏が本気でテレワークを禁止すれば、“あること”に苦労する」と指摘する。
“強制出社”が招く「重大なリスク」とは
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「世界の優秀な人々は、別の働き方を選んでいる」と、Catalant Technologiesの共同創業者でCEOのパット・プティッティ氏は語る。同社は、フリーランス専門人材やコンサルティング会社と企業を結び付けるマッチングサービスを運営している。このサービスに登録している人材は、経営コンサルティング会社での勤務経験や大企業での幹部職の経験があり、平均年齢は45歳だ。同社は1億ドル以上の資金を調達している。
プティッティ氏によると、経験豊富な人材は、フルタイムで働くか、独立して働くかにかかわらず、働き方を自分で自由に選びたいと考えている。大企業は皆「優秀な人を戦略的な仕事に起用したければ、働き方の自由度をより高めなければならないことに気付いている」と同氏は語る。
従業員にフルタイムのオフィス勤務を強いることには「重大なリスクがある」と、調査会社Gartnerで人事関連調査責任者を務めるブライアン・クロップ氏は指摘する。クロップ氏は、同社が2022年5月に公開した調査データに基づき「全面的な出社再開を断行する企業は、従業員の33%を失う可能性がある」と説明する。
一部の企業は従業員に、オフィスに戻ることを義務付けている。それは「テレワークによる共同作業の効果への懐疑的な見方と、テレワークをする従業員の離職増への懸念からだ」と、クロップ氏は語る。だが企業はこうした義務付けによって、従業員の定着においてだけでなく、採用においてもリスクを抱えることになる。
従業員にオフィスに戻るよう要求する企業は「求人に応募する人材が減少するか、さもなければ出社の義務化と引き換えに、割り増し報酬を支払わなければならなくなる可能性がある」とクロップ氏はみる。
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