「LANとWANが1つになる」の本当の意味 “脱レガシー”な思考とは?:ネットワークの新時代思考【中編】
企業のネットワークはLANとWANに分けて考えるのが普通だ。だがこれはレガシーな考え方になりつつある。その理由と、今後の新しい思考法とは。
従来、企業のネットワークでは、LANやWAN、データセンターのネットワークをそれぞれ別のネットワークと見なすのが普通だった。テレワークが広がると、同時に脅威が多様化し、従来のやり方では通用しなくなる場合がある。LANやWANがどう変わるべきなのかを考えてみよう。
「LANとWANが1つになる」の本当の意味
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連載:ネットワークの新時代思考
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企業のネットワーク内外にリスクが存在することを前提にする「ゼロトラスト」の考え方と、「仮想化」を同時に考えることが重要だ。ゼロトラストのネットワークは、「どのエンドポイントがどのエンドポイントと通信するのか」に焦点を当てる。このシンプルな考え方は、「ネットワークを仮想化し、全てのネットワークをポリシーレベルで統一する」と言い換えることができる。
例えば自宅で仕事をしているあるエンドユーザーの端末に、会社のデータセンターへのアクセス許可を与える場合を考えてみよう。エンドユーザーの端末は、WANを通過してデータセンターに接続するためのアクセス許可が必要になる。このような場合、WANとデータセンターネットワークの全セグメント(ネットワークを分割した単位)に、一貫したセキュリティポリシーを適用する必要がある。
ゼロトラストを基にしたネットワークは、1つのWebサイトを2つ以上のドメインで運用するクロスドメインのような思考を必要とする。セキュリティポリシーをネットワークの各セグメントにおいて統一するだけではなく、LANやWANを含むネットワーク全体が“クロスドメイン化”する。
ネットワークを仮想化して各セグメントを単一の方針で運用できるようにすると、セキュリティを高めるだけではなく、ネットワーク全体をエンドツーエンドで可視化し、最適化することが可能になる。例えばデータセンターからWANを経由し、エンドユーザーが作業するLANに到達するトラフィック(ネットワークを流れるデータ)に優先順位を付けると、帯域幅(回線容量)を効率的に使えるようになる。優先順位は、エンドユーザーやアプリケーション、プロトコル、エンドポイントの場所、利用する時間帯などにひも付けて管理できる。
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