英国の若者が敬遠しがちな「STEM」科目はこれだ:GCSE受験者数に見る英国STEM教育の実態【後編】
英国の卒業認定試験GCSEの結果によると、一部のSTEM科目で受験者数が減少していた。その科目とは何なのか。英国経済の活性化にはSTEM教育が不可欠だという見方がある中、学習者の関心をどのように高めればよいのか。
英国における義務教育後の卒業認定試験「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)には、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の科目がある。2022年のGCSEでは、選択受験科目の一つである「コンピュータサイエンス」を選択した受験者数は前年比で1.4%増加。他のSTEM分野では生物が1.3%増、物理が1.0%増、化学が0.6%増、そしてダブルアワードサイエンス(生物、物理、化学の複合科目)は0.9%増となった。
STEM科目の中には、受験者数が減少傾向にあるものもある。これは懸念材料だ。2022年のGCSEで受験者数が減少したSTEM科目には
- 工学
- ICT(情報通信技術)
- 数学
- 上級数学(Further Mathematics)
がある。
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STEM科目への関心を高めるにはどうすればよいのか
「この状況は、スキルギャップ(企業が求めるスキルを持つ人材が不足すること)を解消するためには、STEM科目の履修を奨励するさらなる取り組みが必要なことを示している」とアガタ・ノバコフスカ氏は指摘する。ノバコフスカ氏は、企業向けにオンライン学習サービスを提供するSkillsoftで欧州、中東、アフリカ(EMEA)地域担当バイスプレジデントを務める。
英国経済の将来は、スキルギャップの解消にかかっているとノバコフスカ氏は考えている。GCSEにおける一部STEM科目の受験者の減少は「若者を支援し、STEM分野に進むよう奨励する取り組みに、もっと投資する必要があることを浮き彫りにしている」と、同氏は説明する。
「学校と企業は連携して、若者にSTEM分野のキャリアパスを示し、必要なスキルを身に付ける確実な方法を提供する必要がある」とノバコフスカ氏は強調する。加えてIn2scienceUKといった教育関連組織を支援することも不可欠だと語る。In2scienceUKは、恵まれない境遇にある若者がSTEMに携わるための支援に取り組む慈善団体だ。若者への投資は最終的に、未来への投資になると同氏は考えている。
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