セキュリティ業界はいつまでも“男性社会”のままでよいのか?:データで分かるセキュリティ担当者の「本音」【後編】
従業員の多様な属性や背景が、企業にさまざまなメリットをもたらすと考えられている。だがセキュリティ分野では多様性に関する取り組みはなかなか進まないのが現実だ。それはなぜなのか。
英国企業のセキュリティ担当者の本音を調べた、同国のセキュリティ研究機関Chartered Institute of Information Security(CIISec)。同機関は企業にとって喫緊の課題であるダイバーシティー(多様性)の追求についても調査した。結論から言うと、セキュリティ業界は多様性の点で大幅に遅れている。その原因と、多様性の欠如によるセキュリティリスクとは。
「セキュリティ=男性の世界」が崩れる日
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CIISecのレポート「The Security Profession in 2021-22」によると、セキュリティ業界で大きな課題になっているのは、多様性の実現だ。同社の今回の調査に回答したのは、8割以上が男性だった。この数字からも分かるように、セキュリティの現場は男性の従業員が圧倒的に多く、「女性活用」が遅れているということだ。CIISecの今回の調査では、
- 36%が「セキュリティチームの女性比率を高める計画はない」
- 5%が「女性比率を高めようと努力したが、うまくいかず断念した」
と回答した。
「多様性を持つセキュリティチームこそ、さまざまな視点を持って複雑化している脅威に対抗できる」。CIISecの最高経営責任者(CEO)、アマンダ・フィンチ氏はそう述べる。企業はセキュリティチームの中にアナリストや研究職といったバラエティーに富んだポジションを設けたり、柔軟な働き方を導入したりすることで、女性をはじめとした多様な人材を獲得しやすくなるとフィンチ氏は言う。
多様な人材を採用すると同時に、現場が新しいメンバーを受け入れるための工夫も欠かせない。フィンチ氏は、「『セキュリティ=男性の世界』という意識を克服し、誰もが活躍でき、大切にされる企業文化をつくらなければならない」と強調する。
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