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「5G」のスタンドアロンで“海上業務のテレワーク化”が可能に?シンガポールの先進的な「5G」活用事例【前編】

シンガポールが港湾における「5G」活用に着手した。港湾業務の在り方は大きく変わる可能性があるという。具体的にどのような変化をもたらすのか。

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 シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA)と海事港湾庁(MPA)は、海上における「5G」(第5世代移動通信システム)活用に乗り出した。そのためのテストベッド(試験用環境)「5G@Sea」は、「4G」(第4世代移動通信システム)の設備を使用せず5Gの設備だけで構成するSA(スタンドアロン)を採用。これは、港湾業務の在り方を大きく変えるものだという。

「5G」が港湾にもたらす働き方の変革

 5Gのスタンドアロン構成を採用することで、港湾における通信品質の向上や、ネットワーク接続の高速化につながる可能性がある。IMDAとMPAは2025年半ばまでに5Gの受信域を停泊地や航路、ターミナル、乗船場まで広げる計画だ。テストベッドは、港に入港する船舶の遠隔操縦のテストから開始する。

 シンガポールに入港する船舶のうち総トン数が300トン以上の船舶には、基本的には港内での離着岸を担当する免許を持ったハーバーパイロットの乗船が義務付けられている。通常ハーバーパイロットは、小型港内艇を用いて桟橋から船舶に移動し、垂直はしごを上って船舶デッキに乗船する。この業務に5Gを活用すれば、ハーバーパイロットはリアルタイム映像を使用して、陸上の管制センターから船舶を遠隔誘導できるようになる。つまり、ハーバーパイロットが実際に乗船する必要性は減少する。

 IMDAによると、この試験が本格運用に移行すれば、ハーバーパイロットは体力を要する仕事ではなく、テレワークが可能な仕事へと変わるという。それはハーバーパイロットの安全性が向上することや、船舶稼働の効率化が実現することを意味する。

 海上における5G活用例としてもう一つ挙げられるのが、船舶と陸上間の配送業務にドローンを使うことだ。港外にいる船舶に緊急の点検や修理の必要が発生した場合、ドローンを用いた配送をすることで、船舶を停泊地に入れずに必要な部品を受け渡すことができる。

変更履歴(2023年1月26日17時50分)

記事公開当初、本文で『「4G」(第5世代移動通信システム)』と記載していましたが、正しくは『「4G」(第4世代移動通信システム)』です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。

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