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「AIであれば金が付く時代」はもう終わり 予算を確保し続けるには?調査で分かった「AI」の残念な事情【後編】

効果が明確ではなくても、目新しい技術であれば投資対象としての魅力を放つことがある。ただし、それは永遠には続かない。目新しさを失ったAI技術に、投資を続けるにはどうすればよいのか。

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 国際会計事務所/コンサルティング会社Deloitte Touche TohmatsuのAI(人工知能)研究部門であるDeloitte AI Instituteは2022年10月、AI技術活用動向の調査レポート「State of AI in the Enterprise」第5版を公開した。これは同組織が2022年4月から5月、世界各国のビジネスリーダー2620人に対して実施した調査に基づく。

目新しさだけで「AI」に予算が付く時代は終わった

 ビジネスリーダーはAI技術の活用を進める上で、さまざまな悩みを抱えている。Deloitte AI Instituteの調査では、回答者の46%が「勤務先の日々の業務やワークフローにAIシステムを組み込むことは、大きな困難を伴った」と回答。AI技術に関する取り組みを拡大させようとする中で直面した主な障害として、回答者からは「AI関連リスクの管理」(50%)、「経営陣からの支持不足」(50%)、「メンテナンスや継続的なサポートの不足」(50%)が挙がった。

 Deloitte AI Instituteの調査では、ほとんどの回答者は、AI技術に対する投資の回収期間に「満足している」と答えた。ただしAI技術による長期的かつ大きな変革に向けた準備状況は、企業によってまちまちだ。ビジネスリーダーがこうした変革を進めるには、AI技術がビジネスにもたらす価値を経営陣に証明し、経営陣からの支持を獲得し、継続的なサポートを取り付けることが必要になる。

 AI技術が当初の注目度を失っても、ビジネスリーダーが予算を確保し続けるには、高品質なAIシステムの実現に向けた明確なプロセスを確立し、AIシステムの役割を再定義することが重要だ。そのための手法として、Deloitte AI Instituteは

  • MLOps(機械学習モデルの開発と運用の融合)
  • ワークフローの再設計
  • AIモデルのライフサイクルの文書化

を挙げる。Deloitte AI Instituteの調査によると、こうした取り組みを実施中だと答えた回答者は、全体の3分の1にとどまった。この状況は、2021年10月に同組織が発表した、前回の調査結果と変わらない。

 企業がAI技術を活用し、システムとアルゴリズムを維持し、ノイズではなく価値を生み出し続けるためには「規律と集中が必要になる」とDeloitte AI Instituteは提言。企業はAI技術に関連する全ての課題を注意深く発見し、把握する必要があると同組織は主張する。

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