「デジタルID」を使った年齢確認が英クラブで“大好評”の訳:身分証明のデジタル化【前編】
ロンドン郊外の町キャンバリーのクラブは、年齢確認のためにデジタルIDアプリケーション「1account」を試験的に運用した。同アプリケーションが好評を博した理由とは。
2022年、英国の内務省は「規制のサンドボックス制度」(注1)に基づく新技術の試験運用を9件実施した。そのうちの一つが、ID認証アプリケーション「1account」のクラブにおける試験運用だ。この試験運用は、1accountを提供するID技術ベンダーOne Account Mobileと、バーやクラブの運営企業Rekom UKが共同で実施した。
※注1:参加者や期間を限定し、規制の適用を受けることなく、新しい技術を実証できる場を整えること
試験運用後のアンケート調査は、来店客の約9割が1accountを好意的に評価したことを示した。
「1account」が好評を博した理由とは?
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One Account Mobile とRekom UKは、2022年2月から6月にかけてロンドン郊外の町サリー州キャンバリーのクラブTruで、1accountの試験運用を実施した。試験運用期間中の1accountのダウンロード総数は921件、同アプリケーションを用いたチェックイン数は839件だった。来店客に1accountの使用感を聞いたアンケート調査では、合計288人のうち88.5%が「使いやすい」と評価し、89.6%が「従来のやり方よりも1accountを使用した方がいい」と回答した。
アンケート調査によると、クラブ入場時の年齢確認にかかる平均時間は、運転免許証やパスポートといった物理的な身分証明書を用いた場合は14.8秒だった。これに対してデジタルIDを用いた場合は4.7秒で、時間短縮につながった。
今回の試験運用では、デジタルネイティブ世代はデジタルIDを受け入れる傾向が強いことも明らかになった。Rekom UKでシニア運営ディレクターを務めるトニー・ゴーバート氏によると、同社が運営する店舗の来店客は、ほとんどがデジタルネイティブ世代だという。
「今回の試験運用を通じて、デジタルIDを用いた認証はクラブの来店客に好評だということが分かった」とゴーバート氏は語る。Rekom UKは試験運用の結果を踏まえて、来店客の体験を向上させる方法や、来店客に提供できるメリットを検討する。
中編は、物理的な身分証明書を使う際の懸念点を紹介する。
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