“いつ、どこで働くか”を縛らない「非同期型の働き方」とは? その賢い始め方:「非同期型の働き方」のベストプラクティス【前編】
全ての従業員が同じ場所、同じ時間帯に働くことは、もはや常識ではなくなった。こうした中、新たな働き方として広がりつつあるのが「非同期型の働き方」だ。どのような働き方なのか。その始め方とは。
テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を採用する企業では、従業員によって働く時間帯や場所が異なることは、珍しくなくなっている。企業は、従業員がこうした「非同期型の働き方」をしながら進めるプロジェクトをどのように調整すべきか、最適なマネジメント手法を見極める必要に迫られている。
「非同期型の働き方」とは? その始め方
そもそも非同期型の働き方とは何か。本連載はその定義とメリットを整理した上で、非同期型の働き方で効率を上げるためのベストプラクティスを取り上げる。
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非同期型の働き方は、チームで仕事を進める手法の一つだ。非同期型の働き方では、チームメンバーはリアルタイムかつ対面形式で集まってプロジェクトに取り組むのではなく、各自のスケジュールに合わせて割り当てられた作業に取り組む。
他メンバーの作業を待つ必要なく、チームメンバーが各自の作業を完了させることができるのが、非同期型の働き方のメリットだ。ただし非同期型の働き方では、チームメンバーは他メンバーの作業状況を常に把握する必要がある。企業が仕事に関する文化、ポリシー、共同作業用のITツールを適切に組み合わせられるか否かが、チームワークの成功を左右する。
非同期型の働き方の第一歩は、ポリシーを決めることだ。企業はポリシーを決めて、チームメンバーに期待することを明確に示し、各メンバーがチームの一員としての役割を果たしながら自由に働く方法を管理する。ポリシーには、
- 各メンバーに期待する役割
- 非同期型コミュニケーションを実現する連絡方法
- 業務内容を文書化する場合のルール
- ワークフロー
- データに関するアクセス制御のルール
- データに期待する役割
などを含めるのが一般的だ。
企業は、ポリシーの範囲内で運用可能なITツールを厳選する必要がある。具体的には、以下のようなアプリケーション、アーキテクチャ、リモートアクセス方法を使用することになる。
- テレワークで業務アプリケーションに効率的かつ安全にアクセスするための技術
- VPN(仮想プライベートネットワーク)、SD-WAN(ソフトウェア定義WAN)、SASE(セキュアアクセスサービスエッジ)など
- 音声通話とWeb会議のためのクラウドサービス
- Microsoftの「Microsoft Teams」、Zoom Video Communicationsの「Zoom」、Cisco Systemsの「Cisco Webex」など
- オンラインファイル同期サービス
- BoxやDropboxの同名サービスなど
- チームで利用して、履歴を参照したり、検索したりできるビジネスチャット
- Microsoft TeamsやSlack Technologiesの「Slack」など
- チームメンバーのオンラインとオフラインの状況をリアルタイムで確認できる在席確認ツール
- 進捗(しんちょく)状況、直近の目標、リソース計画、ドキュメントに関する最新情報をチームと共有できてアクセスしやすい、Webベースのプロジェクト管理ツール
ポリシーとITツールを用意したら、次のステップは研修プログラムを用意することだ。テレワーカーと一緒に作業するチームメンバーが「ポリシー上、望ましいことは何か」「新しいITツールをどのように使えばいいのか」を学べるようにするために、研修プログラムの内容を検討する必要がある。テキストを用意し、対面またはオンライン形式で研修を実施するのが望ましい。非同期型の働き方の目標、ITツール、期待されていることをチームメンバーが確実に理解できるよう、多肢選択式の簡単なテストを実施するといい。
中編は、非同期型の働き方が従業員と企業にもたらすメリットを解説する。
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