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非接触型決済を使えなくして「物理カード」を使わせるマルウェア その狙いとは狙われる「非接触型決済」【前編】

非接触型決済をブロックするマルウェアが出現した。POS端末を標的とするマルウェア「Prilex」の亜種であり、消費者は物理的な支払いカードを使わざるを得なくなるという。この亜種の“本当の狙い”は何なのか。

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 POS(販売時点情報管理)端末を標的とするマルウェア「Prilex」に、NFC(近距離無線通信)などの通信技術を使った非接触型決済をブロックできる亜種が出現した。この攻撃を受けた消費者は、クレジットカードやデビットカードといった物理的な支払いカードを使わざるを得なくなる。攻撃者の意図とは。

物理カードを無理やり使わせる“本当の狙い”

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)のさなか、非接触型決済が急速に普及した。消費者が物理的接触を避けるようになったからだ。

 英国では対面決済のほとんどが非接触型決済になっている。英国の金融機関Lloyds Banking Groupの調べによると、店頭でのデビットカード決済のうち非接触型決済の占める割合が、コロナ禍以前の2019年6月は65%だったのに対し、2022年6月は87%に達した。この調査結果は、2019年6月〜2022年6月の間に、金融機関Lloyds Bank、Halifax、Bank of Scotlandの顧客のうち、デビットカードの非接触型決済を利用した顧客の決済データに基づく。

 パンデミック以降、非接触型決済の利用は広がり続けており、勢いが衰える様子はない。セキュリティベンダーKaspersky Labsによると、もともとATM利用者を標的にしていたPrilexは、標的を非接触型決済に変更。その結果、非接触型決済をブロックできるマルウェアとして、Prilexの亜種が登場したとみる。

 このPrilex亜種は、NFCベースの非接触型決済を検知するとブロックし、非接触型決済端末にエラーメッセージを表示。消費者は物理的な支払いカードを利用せざるを得なくなる。Kaspersky Labsによると攻撃者の目的は、物理的な支払いカードをカードリーダーに挿入せざるを得なくすることで、マルウェアが決済に関わるデータを収集できるようにすることだ。


 次回は、攻撃者が非接触型決済を標的にし始めた背景を深掘りする。

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