「IPアドレス」が“枯渇”しても普通にインターネットが使える謎:じっくり考察する「IPアドレス問題」【第2回】
インターネットで通信するには「IPアドレス」が必須だ。世界中の人がインターネットに接続する中でIPアドレスの枯渇が問題になってきたが、まだ通信は問題なくできている。その理由とは。
インターネットでの通信に欠かせない「IP」(インターネットプロトコル)の仕組みや、「IPアドレス」。最も普及しているIPのバージョン「IPv4」のIPアドレス(IPv4アドレス)は、枯渇している。その懸念は以前から各所で取り上げられてきたが、IPv4アドレスによる通信は依然として問題ない。それはなぜなのか。
IPアドレスが“枯渇”してもインターネットが使える訳
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連載:じっくり考察する「IPアドレス問題」
IPアドレスにまつわる問題
IPv4アドレスは、32bitの2進数を8bitずつの4つに区分し、それを10進数で表現した数値が基本となる。例えば「192.0.2.2」といった数値だ。こうしたIPv4の構造上、割り当て可能なIPv4アドレスの数は約40億個が上限になる。IPv4アドレスはインターネットで通信する際に必要であるため、インターネットに接続可能なデバイス数の上限が約40億台、と言い換えることができる。
世界中のさまざまな地域の人がインターネットに接続するようになってきたことから、IPv4アドレス数が不足する問題、いわゆる「IPアドレス枯渇問題」が以前から指摘されてきた。実際、インターネットに接続するデバイス数は、割り当て可能なIPv4アドレスの上限を超えていると考えられる。
IPv4アドレスの不足に対処するために、企業は「NAT」(ネットワークアドレス変換)という仕組みを使用している。NATとは、「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」を変換する仕組みを指す。
プライベートIPアドレスは、企業のLAN(ローカルエリアネットワーク)など特定のネットワーク内でのみ使用するIPアドレスであるため、企業は自組織内で自由に割り当てることができる。それを限られたグローバルIPアドレスにひも付け、自組織のネットワークの外側に出る際に変換することで、プライベートIPアドレスを持ったデバイスがインターネットで通信することが可能になる。
IPv4の枯渇問題に対処するために、IPの次世代のバージョン「IPv6」も使用されるようになっている。IPv4を使う場合のメリットは以下の通り。
- IPに基づいた従来型インフラによる運用ができる
- NATによってプライベートIPアドレスを作成できる
- アドレス不足は懸念されるが、依然としてインターネットに接続できる
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