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権利もなければ保護もない――「ギグワーカー」の“甘くない現実”はこれだ「ギグワーク」の明と暗【中編】

インターネット経由で単発や短期の仕事を請け負う「ギグワーカー」は、雇用関係が不明瞭な中で、厳しい労働環境を強いられている。決して甘くないギグワーカーの実態とは。

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 インターネット経由で単発や短期の仕事(ギグワーク)を請け負う「ギグワーカー」は、広義には「非正規雇用労働者」に分類される。米国では他にも臨時(派遣)社員、フリーランサー、個人事業主などが非正規雇用労働者に該当する。

 ギグワーカーなどの非正規雇用労働者は、厳しい現実に直面している。その実情とは。

「ギグワーカー」が直面する“甘くない現実”はこれだ

 非正規雇用労働者は概して、不安定な短期の仕事に就いており、福利厚生もなく、権利や契約による保護もほとんどない――。Barry Commoner Center for Health and the Environmentの上級研究員であるイザベル・クエルボ氏はこう説明する。Barry Commoner Center for Health and the Environmentは、City University of New York's Queens College(ニューヨーク市立大学クイーンズ校)付属の研究機関で、労働安全衛生や社会環境に関する問題を扱っている。

 クエルボ氏は、米国学術機関の統合団体である全米アカデミーズ(United States National Academies)が2022年12月に公開したウェビナー「Precarious Work in the United States and the Impact of COVID-19」で、「不安定就労者」(Precarious Workers)をテーマに講演した。不安定就労者とは、低賃金で雇用契約が明確ではなかったり、安全ではなかったりする仕事に従事する労働者を指す。

 米国で建設業、肉体労働、清掃、保育、小売り、飲食サービスなどの職種は「有色人種、特に移民に偏っている」と、クエルボ氏はウェビナーで述べた。同ウェビナーに登壇したHoward University(ハワード大学)経済学部助教授のジェベイ・グルームズ氏は、講演の中で「不安定就労者は不確実で予測不可能、かつリスクの高い雇用形態だ」と指摘した。

 クエルボ氏とグルームズ氏が説明した不安定就労者の定義は、必ずしもギグワーカーの定義と一致するわけではない。ただし、どちらも同様の問題を抱えている。


 後編は、ギグワークに関する規制の強化に向かう、米国の状況を紹介する。

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