「TikTok」禁止の“無視できない”理由とは:社用デバイスで「Tiktok」利用の是非【後編】
「TikTok」利用のメリットを見込んで、さまざまな組織がそれを活用しているが、無視できない懸念点もある。各企業やセキュリティ専門家は「TikTok」の利用について、どのような考えを持っているのか。
さまざまな企業がショート動画共有サービス「TikTok」をビジネスに活用している。しかし、英国政府をはじめ、複数の組織がその利用について見直す動きを見せる。背景にはどのような理由があるのか。
「TikTok」規制の背景にある“懸念”
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2023年3月、公共放送局BBC(英国放送協会)はTikTokのアプリケーションを社用デバイスで利用しないよう職員に勧告したと発表した。BBCはこの理由について、「TikTokが収集するデータのプライバシー面やセキュリティ面についての懸念に基づくものだ」と説明する。「当局はシステムやデータ、利用者の安全とセキュリティを重視している。今後もTikTokを含めたサードパーティー製サービスの利用を見直す」(BBC)
TikTokを取り巻く主な懸念は、中国政府にデータを渡しているのではないかというものだ。TikTokは本社をシンガポールに構えるが、親会社のByteDanceは中国系企業で、本社は中国にある。
この懸念についてTikTokは「誤解に基づくものだ」と否定し、「BBCが出した指針には落胆している」と話す。一方でTikTokは、BBCが編集やマーケティング、報道などの目的にTikTokの使用を継続する点について歓迎の意を示す。
BBCはTikTokを使用して、英国だけでなく世界中のTikTokユーザーにニュース関連のコンテンツを届けている。「当社はBBCと緊密な対話を続け、懸念への対処に努める」とTikTokは話す。
TikTokは欧州各国政府が示すデータ関連の懸念を払拭(ふっしょく)しようと動いている。その一例が、データのセキュリティ強化計画「Project Clover」だ。このプロジェクトは、欧州のTikTokユーザーから収集したデータの保存先をシンガポールと米国から欧州の域内に移し、安全性を強化するものだ。
セキュリティソフトウェアを手掛けるBlackBerryで脅威調査とインテリジェンス担当バイスプレジデントを務めるイスマエル・バレンズエラ氏は、「最高情報セキュリティ責任者(CISO)の大半は、TikTokを社用デバイスで利用することの禁止を検討している」と話す。
特に、金融といった規制の厳しい業界では、独自で製品セキュリティテストを実施したり、プライバシーポリシー条項の法的面について見直したりしている。「その際に、適切な製品セキュリティ管理ツールがないと困るケースも見受けられる」とバレンズエラ氏は指摘する。
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