アラブ諸国で「VPN」が使い倒されていた“意外な理由”:アラブ諸国で普及するVPN【後編】
VPNベンダーの調査により、アラブ諸国は世界トップレベルのVPN普及率を誇っている状況が明らかになった。背景に何があるのか。
アラブ諸国の「VPN」(仮想プライベートネットワーク)普及率は、比較的高い傾向にある。VPNベンダーAtlas VPNの調査によると、2020〜2022年の人口比で見た世界各国のVPNダウンロード率において、上位5カ国のうち4カ国をアラブ諸国が占めた。
前編では、アラブ諸国の人が、法律によって課される制約を回避するためにVPNを使用する状況を紹介した。本稿は、アラブ諸国の人がVPNを使用する“もう一つの理由”を紹介する。
アラブの人々がVPNを使用する「もう一つの理由」
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アラブ諸国の人がVPNを使用する目的は、アクセスが禁止されているWebサイトやアプリケーションを利用することだけではない。ゲームサービスや動画ストリーミング配信で使用する、ネットワークの帯域幅の制限を回避するという目的もある。
例えばアラブ諸国のゲーマーは、他の地域のプレイヤーと対戦するために、VPNを使ってIPアドレスを変更し、ネットワークの帯域幅の制限を克服しようとする。他にも、動画ストリーミング配信の視聴者は、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃を避けるためにVPNを使用している。
ゲーム業界は、中東、特に湾岸諸国で巨大化が進んでいる。中東および北アフリカ(MENA)地域で活動する人権弁護士で、国家安全保障と地政学のアナリストでもあるイリーナ・ツケルマン氏は次のように話す。「改革と近代化を進めるアラブ諸国では、ゲームサービスの利用や動画ストリーミング配信の視聴が、VPNを使用する主な動機だ」
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