スポーツ賭博会社とF1チームが「STEM人材の復職」を促す“根深い問題”:多様なIT人材登用の促進【前編】
女性の復職を支援するため、スポーツベッティング事業者EntainとF1チームMcLaren Racingがプログラムを立ち上げた。具体的な支援の内容や両者が見据えるプログラムのゴールとは。
スポーツの試合を対象にしたギャンブル(スポーツベッティング)事業を提供する英国企業が、女性の復職支援に向けてフォーミュラ1(F1)チームとタッグを組む。スポーツベッティング事業をオンラインで提供するEntainとF1チームのMcLaren Racingは2023年1月、共同でSTEM(科学、技術、工学、数学)分野における女性の復職支援プログラムを創設すると発表した。この復職支援プログラムがターゲットとするのは、キャリアを中断し、仕事から離れていた女性だ。
なぜ女性の復職支援プログラムが必要なのか
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IT業界と女性の登用
仕事から離れていた女性は6カ月間にわたるプログラムに参加すると、ソフトウェアエンジニア、バックエンドエンジニア、データサイエンティストといった職務で、EntainとMcLaren Racingのいずれかで雇用される。
EntainでCEOを務めるイェデ・ナイガード・アンデルセン氏は次のように述べる。「テクノロジー、スポーツ、エンターテインメントの融合の他、有能な女性の復職支援を考えている当社にとって、McLaren Racingと新たなプログラムを立ち上げることは必然だった」
アンデルセン氏によると、EntainとMcLaren Racingは、女性がSTEM分野でキャリアを再開するための場を提供したいという共通の考えを持っている。両者は支援プログラムを通じて、意欲の高い現役世代の女性を支援するだけでなく、次世代の女性がSTEM分野で夢を抱き、希望する職種に就けるように後押しする。
英国のIT業界は、ダイバーシティー(多様性)に関する人材の課題を抱えている。女性や社会的少数者(マイノリティー)が管理職に登用されにくい、女性や若者がこの業界を選ばない、IT業界に存在する多様性の欠如とそれによる固定観念や不寛容さによって若者が離職してしまうといった問題だ。
Entainの発表によると、F1ファンの約40%、スポーツベッティング利用者の約26%が女性だという。EntainとMcLaren Racingは、各業界で働く従業員の構成も利用者の状況を反映したものにすることを目指している。
後編は、プログラムの詳細と、人材の多様性を促進する他のプログラムを紹介する。
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