医療従事者が明かす「AIが本当に役立つ用途」はこれだ:医療現場で活躍する「AI」の役割【第3回】
MITとGE Healthcareの調査によれば、医療従事者はAI技術をおおむね好意的に受け入れている。その理由は何か。また、どのように役立っているのか。調査レポートのポイントを紹介する。
臨床医療に人工知能(AI)技術が浸透する過程で、医療従事者はAI技術のメリットとデメリットの両面を経験してきた。医療従事者や医療機関の職員は、AI技術に対してどのような思いを抱いているのか。データを基に紹介する。
医療従事者が「AIを使いたくなる用途」はこれだ
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人工知能(AI)技術関連の注目トピック
マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の出版部門であるMIT Technology Review Insightsは、GE(General Electric)グループでヘルスケア事業を担うGE Healthcareと共同で調査レポート「AI Effect」を発表した。これは2019年に実施した、医療現場における人工知能(AI)技術活用についての調査結果をまとめたものだ。
この調査の対象は、米国および英国の医療従事者および医療機関職員908人。回答者の75%は「治療において正確な予測が可能になった」と答えた。78%は「ワークフローの改善」を体験。79%は「医療従事者の燃え尽き防止に役立った」、45%は「AI技術のおかげで管理などのタスクが減り、医療行為に使える時間が増えた」と回答した。
遠隔医療だけではなく医療全般において、AI技術は下記を実現する可能性がある。
- 医療従事者が事務作業に費やしていた時間を患者のケアに回せる
- 事務作業が膨大だと、医療従事者が患者ケアに十分な時間を割くことが難しくなる。AI技術は一般的な事務作業を肩代わりできる。
- 診断から治療に至るプロセスを高速化できる
- AI技術は、複数のデータソースから収集した情報を、ほぼリアルタイムで分析できる。そのため医療従事者はAI技術を使うことで、データ主導の洞察を得やすくなる。この洞察を活用して、患者に最適な治療方針の迅速かつ正確な判断に、この洞察を生かすことが可能だ。
- 医療を提供可能な地域を拡大できる
- AI技術を搭載した遠隔モニタリングツールによって、医療従事者は遠隔地にいる患者にケアを提供できる。医療機関が少なかったり、存在しなかったりする地域の患者でも、医療を受けられるようになる。
- パーソナライズ医療を提供できる
- アルゴリズムを用いて各患者の診療記録と個人データを分析し、適切な医療介入を判断できる。
- 慢性的な症状や疾患を管理できる
- AI技術を活用して個人に合わせた治療計画を作成し、それぞれの治療方針に沿って一人一人を継続的にモニタリングできる。
次回は、AI技術が医療現場にもたらすデメリットを考察する。
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