「退職希望者を引き留めるべきか否か」を正しく判断する方法:企業文化の維持と企業規模の拡大【第3回】
企業規模が拡大し、従業員数が増えることで生じる課題の一つが離職だ。企業の経営層や人事部門の担当者、事業部門の管理者は、この問題をどのように捉えればよいのか。
企業の成長過程で生じる問題の一つが、従業員の離職だ。創業期や事業の立ち上げ当初から貢献してきた従業員が、十分に事業が成長した後も残るとは限らない。こうした従業員の離職に対して、企業はどのように臨めばよいのか。私が在籍するITコンサルティング会社Nash Squaredでの経験を元に説明する。
事業が好調でも出てくる「退職希望者」
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連載:企業文化の維持と企業規模の拡大
従業員が退職を考える時
企業の規模が拡大すれば、創業時の企業文化が現状の組織にはそのままでは適さなくなる可能性がある。大切なのは、企業文化の核となる資質に忠実であり続けながら、変化に適応し続けることだ。人の成長に例えるなら、あなたの本質は変わらないが、子どもの頃のあなたと、大人になってからのあなたは違うという意味だ。
特に事業規模がまだ小さなスタートアップ(創業後間もない企業)が向き合うべき重要な現実がある。「従業員は去っていく」ということだ。事業規模が拡大し、業務プロセスが標準化されたりガバナンスが強化されたりするようになると、「スタートアップの魅力は薄れた」と考える従業員もいる。小規模な組織で、他の従業員と気軽にコミュニケーションを取れるような労働環境を好む従業員は、組織規模が大きくなるにつれて居心地が悪いと感じるようになる可能性がある。
企業にとって重要なのは、事業の状態や方向性について、従業員に丁寧に伝えることだ。その上で「自分がいる場所ではなくなった」と感じる従業員が出てきたとしても、それは問題ではない。事業の発展に貢献してくれた従業員に感謝し、良い関係で別れよう。新しいスキルや才能を持った入社志望者は現れるはずだ。
第4回は、企業規模を拡大するに当たって重要となる、人材の獲得や社外との関係構築について検討する。
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