「AI」でどう防ぐ? 政府や医療機関を狙うサイバー攻撃に“一歩先”の対策:マルウェア対策としてのAI【第5回】
人工知能(AI)技術を用いたセキュリティ対策は、多様な業界のセキュリティ対策に有効だ。具体的にはどのようなメリットをもたらすのか。業界別に紹介する。
あらゆる企業が、マルウェア攻撃をはじめとするサイバー脅威にさらされている。特に近年目立つのが、従来のマルウェア対策ソフトウェアやファイアウォールといったセキュリティ対策を回避する、高度なマルウェアの登場だ。高度なマルウェアの検出や分析には、人工知能(AI)技術を利用したツールが役立つ。
政府や医療機関で活躍するAIツールは?
マルウェアの検出や分析にAI技術を使うことで、どのようなメリットがあるのか。業界ごとの具体例は次の通りだ。
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連載:マルウェア対策としてのAI
- 第1回:「AI」で“未知のマルウェア”に対抗――その実力は?
- 第2回:「AIはマルウェア対策に必須」と言わざるを得ない“4つの理由”
- 第3回:マルウェア対策の“特効薬”になる「AIセキュリティツール」の4つの効果
- 第4回:「AI」で未知の脅威に挑む 高精度化が期待できるマルウェア検出“3つの機能”
AIとセキュリティに関する記事
活用例1.政府機関
政府機関はさまざまな機密情報を保持する他、電力事業や水道事業、輸送といった重要インフラに関する情報を扱う。そのためサイバー攻撃の標的になることが少なくない。AI技術を利用したツールを使用することで、機密データや重要インフラだけではなく、物理的損傷や混乱を引き起こす可能性があるサイバー攻撃からシステムを保護するのに役立つ。
政府機関はしばしば以下の規制を順守することが必要になる。AIツールを使用することで、これらの規制への準拠を容易にすることができる。
- HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)
- FISMA(連邦情報セキュリティマネジメント法)
- 米国標準技術研究所(NIST)
活用例2.医療機関
インターネットに接続する医療機器が普及したことで、医療機関はよりサイバー攻撃にさらされやすくなった。医療機関は医療機器やソフトウェアの中に、医療記録や個人情報といった患者の機密データを保持している。
このようなマルウェア攻撃の標的になりやすいデータをサイバー攻撃や不正アクセスから保護するためには、AI技術を用いたマルウェア検出ツールが役に立つ。他にもHIPAAへのコンプライアンス準拠をAIツールで支援することで、準拠していない場合の罰金を回避できる可能性がある。CX(顧客体験価値)ソフトウェアベンダーのWeave Communicationsによると、ほとんどの歯科医療従事者が「患者への優れた医療体験の提供にはITが重要な役割を果たす」と考えている。
第6回は、金融機関と教育機関の活用例を紹介する。
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