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「ソフトウェア定義ストレージ」(SDS)のメリットを徹底解説SDSの利点と落とし穴【第2回】

トレージシステムの運用を効率化する手段としてSDSに期待が集まっている。ユーザー企業にとってどのようなメリットがあるのかを解説する。

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 ストレージのハードウェアとソフトウェアが分離した「ソフトウェア定義ストレージ」(SDS)が注目を集めている。企業にとってのSDSのメリットは主に2つある。1つ目は、物理的な複数のストレージを組み合わせて、論理的な単一のストレージとして取り扱う「ストレージプール」ができること。2つ目は、ストレージソフトウェアのベンダーに依存せずにハードウェアを交換できることだ。詳しく見ていこう。

「SDS」とは? 企業のストレージはどう変わる?

 ユーザー企業はSDSにより、サーバや仮想マシン(VM)、アプリケーションをまたいでストレージプールを作成できる。

 SDSはアプリケーションからは物理ストレージと変わらず認識されるため、IT管理者はワークフローや運用に影響を与えることなく、ストレージシステムを調整できる。これにより、コントローラーやフラッシュストレージの変更や移行、アップグレードがしやすくなる。

 SDSを利用すれば、重要なアプリケーションには自社が所有する中で比較的高性能なハードウェアを、逆に重要ではないアプリケーションには比較的高性能なハードウェアを割り当てることが可能になる。つまり、SDSを使用することで、アプリケーションやタスクごとに最適なハードウェアおよびベンダーを選択できるわけだ。一部のアプリケーションの要求を満たすためだけに、強力なストレージシステムを選択する必要がなくなる。

 「ストレージベンダーはTシャツのようにストレージを販売するのが一般的だ」と、調査会社Gartnerのチャンドラ・ムヒャラ氏は説明する。スモール、ミディアム、ラージというように製品のグレードが分かれており、サイズごとに容量だけでなくデータ読み書きなどの性能も変わる。通常、より性能の高いストレージを利用するには、容量に余裕があったとしても、ストレージアレイごと交換する必要がある。SDSを活用すれば、余っている容量を有効活用できる。

 SDSのこれらの特徴は、コスト削減につながる。最高情報責任者(CIO)がSDSに注目するのは、拠点をまたいで分散している物理ストレージを単一の論理的なストレージ名で扱える「グローバルネームスペース」を実現するからでもある。

 グローバルネームスペースを実装すれば、オンプレミス、クラウド、エッジに分散している各アプリケーションが共通のストレージプールを利用する構成への移行がしやすくなる。オンプレミスのアプリケーションの要求に応じて、ワークロード(作業負荷)の処理を、一時的にクラウドサービスに切り替える「クラウドバースト」も可能になる。

 SDSを使えば、ファイルシステム間で物理ストレージを共有することが容易になるため、さまざまなタイプのファイルシステムを運用する企業にとってSDSは有用だ。ファイルシステムは、扱うデータの容量と種類、そしてデータへのアクセス方法であるデータパスも違う。一般的にSDSはさまざまなタイプのデータパスを扱うことができる。


 第3回は、SDSを利用する際の意外な落とし穴について解説する。

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