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人が辞めない「幸せな職場」が理解している“ごく簡単な法則”とは?離職率改善に向けてIT部門は何ができるか【第3回】

従業員同士のコミュニケーション促進や、テレワークの推進など、人事部門とIT部門が連携する施策は幾つもある。「幸せな職場」という目標に向かって、人事部門とIT部門が理解すべきこととは。

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 離職率の改善に向けて、ITツールが寄与できることは幾つもある。従業員の定着率と、従業員エンゲージメント(組織との信頼関係)の改善を目指してIT部門と人事部門が協力する際、どうすればより成果を創出しやすくなるのか。

 何らかのITツールを導入する場合、そのツールが目的に合った使いやすいものになるようにするためには、まずは導入プロセスの最初から従業員を関与させるのが望ましい。ツールの使いやすさを判断し、習熟のための課題を見極めるためには、ITツールのユーザーとなる従業員の意見を聞く必要があるためだ。

 ただしITコンサルティング企業Nash Squaredで最高人事責任者を務めるメラニー・ヘイズ氏は、同社がエクスペリエンス管理ツールを導入した際の経験を振り返り、それでは不十分だと警鐘を鳴らす。

人が辞める職場ではなぜ「話が通じない」のか?

 ITツールの導入など何か新しい取り組みを始めると、それでうまくいくと考えてしまいがちだが、欠かせないのはコミュニケーションを円滑にするための工夫だ。往々にしてIT部門の責任者と人事部門の責任者は、お互いを「別世界の住人」だと感じている。だからこそ、効果的に協力する方法を見つけることが重要だ。ヘイズ氏は次のように話す。「一貫してコミュニケーションを取り、耳を傾け、行動する姿勢を見せなければならない。プロジェクトに参加する全員が、行動の理由と期待する結果を理解することが重要だからだ」

 「お互いが『単独では解決できないのだ』と認識することから始まる」と説くのは、調査会社Gartnerのバイスプレジデントアナリストであるジョン・コストウラス氏だ。IT部門と人事部門の連携は1回限りのプロジェクトで終わらせず、継続的な協力体制を築かなければならない。「IT部門は、人事部門が解決したい問題を理解するために、その問題の枠組みを組み立てる相談役として人事部門を支援することができる」とコストウラス氏は主張する。

 IT導入プロジェクトで、ITベンダーとの窓口に立って「ITベンダーが話す謎の専門用語」を遮断したり、分かりやすい用語に翻訳したりして、何が重要なポイントなのかを明確にする――自社に人事担当のITチームがいないのならば、この役割を担うのはIT部門の責任者だ。目的は、人事部門の担当者が、システムの購入に関して適切な判断を下せるようにすることだ。

 IT部門にとっての大きな課題は「ITが全てを解決する」と過大評価されることだ、とコストウラス氏は注意を促す。ITツールを導入すれば、従業員が突然会社を辞めるのを阻止できる、という期待を抱いてしまう人がいるが、これは大きな勘違いだ。「『離職率を減らしたい』といった漠然とした目的ではなく、問題の構造をもっと狭い範囲で捉えることが不可欠だ」と同氏は語る。例えば上司に不満があるのなら、管理職のスキルを向上する解決策を推奨し、管理職が効果的にコミュニケーションを取れるように支援することが有効な解決策になり得る。


 第4回は光ファイバーメーカーSterlite Technologiesが、従業員エンゲージメント改善を目指したIT活用事例を紹介する。

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