生成AIで「オブザーバビリティ」「レジリエンス」はどう変わる?:開発や運用における「生成AI」の実力【第3回】
生成AIが進化することで、企業のオブザーバビリティ(可観測性)やレジリエンス(障害発生時の回復力)にどのような変化をもたらすのか。専門家の意見を踏まえて紹介する。
AI(人工知能)技術を使ってテキストや画像などを自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成AI)が、IT運用業務を担うようになりつつある。セキュリティやオブザーバビリティ(可観測性)、レジリエンス(障害発生時の回復力)の分野において、生成AIの役割は今後ますます拡大する可能性がある。
生成AIで「オブザーバビリティ」「レジリエンス」はどう変わる?
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「生成AIがユーザーの話し言葉による指示を理解し、それに基づいて自在にデータにアクセスする対話型インタフェースが誕生したら、ビジネス指標やサーバのパフォーマンス指標など、さまざまデータを用いたレポートを生成できる」。こう話すのは、フリーランス技術コンサルタントであるロブ・サスエタ氏だ。
他にも、レジリエンス向上に役立つ、以下のようなテストの生成と自動化を生成AIが担う可能性がある。
- カオスエンジニアリング
- システムが不安定な状況でも継続して動作できるよう、意図的に本番環境に障害を引き起こすテスト手法
- ペネトレーションテスト(侵入テストとも)
- 攻撃に使われている手口でシステムへの侵入が可能かどうかをテストする手法
マーケティング支援ベンダーHubSpotでデベロッパーリレーションズシニアマネジャーを務めるクリス・ライリー氏は次のように話す。「全ての要素をテストして問題となり得る要素を見極めることは人手では難しいが、生成AIなら可能だ。新しいテストケースの発見にもつながる可能性もある」
ライリー氏は、手作業では時間がかかり過ぎる反復作業を担うAIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)の登場にも期待を寄せる。ペネトレーションテストや、脆弱(ぜいじゃく)性を探し出すバグハンティングを実行するbotがあれば、以下のようなことが可能になる。
- セキュリティギャップ(構築・運用するシステムに対してセキュリティ対策が行き届いていない状態)の有無についての徹底的な確認
- テスト仕様書(テストの目的や対象機能、実施方法などを具体的に示したドキュメント)が実際にあり得るシナリオに即しているかどうかの確認
「第三者からの情報を待つのではなく、自発的にセキュリティギャップを特定することが必要だ。その際に生成AIは役に立つ」(ライリー氏)
第4回は、生成AIがスキルギャップ解消に役立つ可能性について解説する。
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