英銀行が「ローコード」でアプリ開発 “うれしい成果”を生んだ方法とは?:ローコードで簡単に業務改善
英国の銀行Shawbrook Bankは、ローコード開発によってビジネスプロセス変革に取り組んだ。その具体的な方法と成果を解説する。
2011年に英国で創業したShawbrook Bankは、中小企業や不動産投資家、一般消費者向けの融資と預金を扱う、店舗を持たないオンライン特化型の銀行だ。創設以来、急速な成長を続ける同行は、さらなる効率化と生産性向上を目指し、ローコード(最小限のソースコード記述)開発による、住宅ローン融資事業におけるビジネスプロセスの再構築に着手した。その具体的な方法と、成果について解説しよう。
“うれしい成果”を生んだ「ローコード開発」の方法
Shawbrook BankはCRM(顧客関係管理)ベンダーPegasystemsのローコード開発ツール「Pega Platform」を導入。2023年5月に新しいビジネスプロセスの運用を開始した。顧客と従業員向けのビジネスプロセス設計とツール実装は、コンサルティング企業Labb Consultingと提携して進めた。
Pega Platformのエンドツーエンドの業務フロー自動化機能やプロセス管理機能を活用して、Shawbrook Bankは住宅ローン融資事業のビジネスプロセスを再構築し、以下を達成した。
- 融資処理にかかる時間を毎月約1500時間削減
- 賃貸用住宅ローンの申し込みから正式な融資提案までにかかる期間を平均40日から11日に短縮
- 融資引受件数が週平均6件から20件まで増加
他にも、ユーザーフレンドリーな操作画面を提供できるといったメリットを通して、顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)や従業員体験(業務における従業員の体験や経験)の改善につなげることができたという。
Shawbrook Bankの最高技術責任者(CTO)ラス・ソーントン氏は同行の戦略について、「当行の専門知識に精通した従業員と、最先端技術の組み合わせが中心となる」と説明する。同行は110人のITスタッフの他、70人のITサプライヤー担当者で構成される。「従業員の迅速な意思決定や業務効率化を支援するため、適切な技術やデータを提供する必要があった」とソーントン氏は語る。
同行はPega Platformを用いた今後の取り組みとして、預金処理プロセスのデジタル化による口座開設から入金までにかかる時間短縮や、カスタマージャーニー(製品やサービスに対する認知から購入までの過程)のデジタル化を挙げる。
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