「Windows」ではなく「Mac」が危ないのはなぜ? Appleの“安全神話”は崩壊か:Macを安全に使うには【第1回】
MacをはじめとしたAppleデバイスは攻撃されない――。これは大きな誤解だ。過去には間違いではなかったが、脅威の状況は変わっている。Macを狙った脅威はどれほど増えているのか。
AppleのクライアントOS「macOS」を搭載したデバイス「Mac」の採用が企業において広がる中で、それを狙った攻撃が活性化している。Macは攻撃に強いと考えられているが、決してセキュリティ対策を放置してはいけない。「Macが安全だ」と言えるのは、もう過去のことだ。Macユーザーにとって脅威は、どのような状況にあるのか。
Windowsではなく「Mac」が危ないのはなぜか
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「セキュリティ」から考えるmacOS
Macのユーザーの中には「自分は攻撃とは無縁だ」と考えている人がいるだろう。MicrosoftのクライアントOS「Windows」搭載のデバイスと比べて、かつてはMacを狙った攻撃がまれだったからだ。しかしそれはWindowsデバイスの方がMacよりはるかに普及していたことが主な理由で、Macそのものが安全だというわけではない。
もっとも、Appleがソフトウェアとハードウェアの両面でセキュリティ対策に注力していることも、「Macが安全だ」というイメージ作りを後押ししてきたことは確かだ。それに加え、macOSはセキュリティが強固だと考えられてきたOS「UNIX」をベースに開発されている。
Macは企業や一般家庭での利用が広がったことで、「普及率が低いため攻撃者にとって魅力的な標的にならない」というセキュリティ面の利点がなくなった。近年、サイバー犯罪者Macを狙うようになり、攻撃活動が活性化している。以下の動向がそれを裏付けている。
- 脅威検出数でMacがWindowsデバイスを上回る
- セキュリティベンダーMalwarebytesは、2019年に脅威検出数でMacが初めてWindowsデバイスを上回ったと報告。デバイス1台当たりの脅威検出数はWindowsデバイスが4.2件だったのに対し、Macは9.8件だった。
- 2020年にMacを狙ったマルウェアが増加
- VPN(仮想プライベートネットワーク)ベンダーAtlas VPNによると、2020年、macOSデバイスを狙ったマルウェアは前年比1092%増を記録した。
Macを狙う脅威は多岐にわたっている。以下はその一例だ。
- フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリング(人の心理を巧みに操って意図通りの行動をさせる詐欺手法)
- トロイの木馬
- 悪意のあるWebサイトへの誘導
- ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃
- クリプトジャッキング(コンピューティングリソースを乗っ取って仮想通貨を採掘する攻撃手法)
第2回は、Appleが講じているセキュリティ対策を見る。
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