4000人以上を解雇 Ciscoが苦境に陥った2つの要因:ネットワーク機器の売り上げ減
Cisco Systemsが、従業員の5%に相当する4000人以上の人員を削減する。2024年度第2四半期決算の売上高は、前年同期比6%減と苦戦している。なぜ、売り上げが予想を下回ったのか。
ネットワーク機器ベンダーCisco Systemsが数千人の人員を削減する。顧客企業が世界経済の先行きへの懸念や製品導入の遅れから、支出を控えているためだ。同社は2024年2月14日(現地時間)、従業員の5%に相当する4000人以上を解雇するという報道を認め、「経費と投資を現在の環境に合わせる」と説明した。同社の2024年度第2四半期決算(2023年11月〜2024年1月)売上高は、前年同期比6%減の128億ドルだった。
ネットワーク機器の売り上げ減(前年同期比12%減)が、全体の業績を押し下げた。CEOのチャック・ロビンズ氏によると、支出を抑制している顧客企業のほとんどはクラウドサービスベンダーと通信会社だという。
CEOが語った2つの要因
ロビンズ氏は同社の決算会見で、金融アナリストに対し「マクロ経済の不確実性があり、顧客企業が機器の購入を精査するようになっている」と説明した。同氏はマクロ経済面のどのような要因が顧客企業の支出に影響したのかについては明言を避けたが、世界的に金利が高くなり、一部の国で景気後退が起きることを見越している可能性がある。
顧客企業が支出を抑制したもう一つの要因は、ネットワーク機器の在庫が過剰ということだ。コロナ禍に伴うサプライチェーンの制限によって、Cisco Systems製品の納品が遅延していたため、ユーザー企業はそれを順次導入している状況だった。
Cisco Systemsは2024年度通期の業績見通しについて、今期2度目の下方修正をせざるを得なくなった。同社は売上高が515億〜525億ドルになると予想している。2023年11月時点での見通しは538億〜550億ドルだった。
なぜ、Cisco Systemsは苦境なのか
Cisco Systemsの売上高が予想を下回ったのは、Arista Networksといった他のネットワーク機器ベンダーからの競争圧力が一因だ。クラウドサービスベンダーを顧客として抱えるArista Networksは、2023年度第4四半期(2023年10〜12月)の売上高が前四半期比で2%増加し、15億4000万ドルだったと発表した。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリストであるボブ・ラリベルテ氏は、「Cisco Systemsのネットワーク事業をさまざまなベンダーが狙っている」と述べる。
Cisco Systemsは、再成長に向けて措置を講じている。2023年9月、ログ分析ツールベンダーのSplunkを280億ドルで買収すると発表した。2024年中に買収を完了させる計画だ。2024年2月には、GPUベンダーNVIDIAとの提携を拡大し、NVIDIAのGPUとCisco Systemsのサーバを組み合わせ、データセンターで人工知能(AI)アプリケーションを実行できるようにすると発表した。
ロビンズ氏は「われわれは企業におけるAI技術活用のニーズが急速に高まり、チャンスが到来するのを目の当たりにしている」と述べる。
ネットワーク機器は売り上げ減になったものの、それ以外のカテゴリーは売り上げを伸ばしている。セキュリティ領域とコラボレーション領域はそれぞれ前年同期比で3%増加し、ネットワークとアプリケーションを監視するソフトウェアの領域は16%伸びた。
同社は2024年第3四半期(2024年2〜4月)の業績については、売上高が121億〜123億ドル、米国会計基準(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)ベースの1株当たり純利益が0.51〜0.56ドルになると見通している。
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