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「量子コンピュータ」の実用化に向けて企業はどう準備すべきか量子コンピュータと企業のデータセンター【後編】

量子コンピュータは発展途上の技術だが、実用化すれば従来のコンピュータでは難しかった計算が高速でできるようになる。量子コンピュータ実用化に向けて、データセンター管理者はどのように備えておくべきか。

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 企業が量子コンピュータをより幅広い用途で利用できるようになるまでに、少なくとも5年から10年はかかる。しかし量子コンピュータは急速に進化している。データセンター管理者は、量子コンピュータで何が実現するのかを含めて、この技術のトレンドや進歩に注目しておくべきだ。

量子コンピュータ実用化に向けてデータセンターはどう適応すべきか

 従来のコンピュータはデータをバイナリ(2進数)で処理するため、扱えるデータ量や意思決定には限界がある。この手法は逐次処理とも呼ばれる。一方の量子コンピュータは、データを多次元的に処理する。

 逐次処理は複数のデータの組み合わせを1つずつ処理して、正しい結果を導き出す。多次元的な処理が可能な量子コンピュータは、複数のデータの組み合わせを並列処理する。これにより計算速度と計算精度が向上し、多様な結果が得られる。

 こうした特性を持つ量子コンピュータの実用化が進めば、AI(人工知能)アプリケーションの利用やセキュリティ対策、製造業の設計、医薬品の開発など、幅広い用途で役立つ可能性がある。

 データセンター管理者は量子コンピュータの活用を視野に入れ、必要に応じて関係者と協力したり、専門家を採用したりするなど準備を進めておいて損はない。自社が属している業界の動向を把握し、量子コンピュータが役に立つ用途を探ることもした方がよい。

 データセンターの設備の拡充にも取り組むべきだ。企業は一部のシステムを量子コンピュータで構築することを視野に入れ、インフラの構築とストレージやデータベースの拡張を続けることで、量子コンピュータが実用化されたときに迅速に導入できるようになる。

 企業が抱えるさまざまなデータを正確かつ大規模に処理し、望む結果を得られるようにするために、量子コンピュータは役立つ可能性がある。

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