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「5G」ではなく「6G」なら医療と自動車の“あれ”が本当に実現する?6Gによる変化を解説【第2回】

5Gの次世代として開発が進む「6G」は産業を変革できるのか。特に6Gに期待を寄せているのが医療と自動車の業界だ。6Gに何を期待しているのか。

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 「5G」(第5世代移動通信システム)の次世代となる「6G」(第6世代移動通信システム)が実用化すれば、5Gでは実現し得なかった通信や、それによる新たなアプリケーションが実現する可能性がある。6Gによって産業はどう変わる可能性があるのか。特に6Gに期待を寄せているのが、医療と自動車の業界だ。研究開発が進んでいる取り組みを紹介する。

医療、自動車の業界が「5G」ではなく「6G」に期待する通信

 6Gに関する、フィンランドのオウル大学の研究プログラムである「6G Flagship」のプログラムの一つに、持続可能な社会を6Gで実現することを目標とした「6G Energy-Enabled Sustainable Society」(6GESS)がある。

 6GESSプログラムは医療とエネルギーシステムの2つをテーマに研究と調査を重ねており、オウル大学病院や、医療関係者による産学官連携の仕組みである「OuluHealth Ecosystem」などが協力している。

 6GESSでは、以下の項目について研究が進んでいる。

  • 市民中心の健康データ管理
    • 市民が自ら健康データを管理して使用できる「データドリブン(駆動)型予防医療」の仕組み。
  • 安全でインテリジェントな医療ケア
    • 患者、主治医、病院、そしてバーチャルな医療サービスが連携する仕組み。セキュリティとプライバシーが保護された仕組みの下で各ユーザーのコミュニケーションを可能にする。
  • AI(人工知能)技術に基づいたワイヤレス病院
    • 機械学習などのAI技術やエッジコンピューティングなどで診断や治療を支援する。プライバシーを確保しながら各データを6Gで共有する。
  • 再生可能エネルギーを使った持続可能なデジタルサービス
  • バッテリーや充電ケーブルを不要としたデバイスへの電力供給

自動車業界が6Gに期待すること

 2024年1月にラスベガスで開催された国際的な電子機器見本市「CES 2024」では、車載通信とインフォテインメントシステム(情報と娯楽を提供する車載システム)がさらに進化し、「SDV」(ソフトウェア定義自動車)市場が加速するという明確なメッセージが示された。

 ITコンサルティング会社Capgeminiの調査によると、2026年までに36%の自動車に無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)が搭載されるという。新車におけるSDVの比率は2021年には7%であったところ、2031年までに35%に増加すると同社は予測している。これにより、SDV関連市場の規模は、2030年までに6400億ドルに達すると同社はみる。

 自動車用ソフトウェアベンダーElerktrobitは、SDVの進化に注目する一方で、「現在は機能とハードウェアとの間の通信には課題もある」と分析している。Elektrobitが考える未来とは、機能の開発がハードウェアの開発サイクルから切り離された、車両専用のソフトウェアアーキテクチャが出来上がることだ。システムは相互にリンクし、自動車用OS上で動作する共通の車両API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じてアクセスされるようになる。

 Elektrobitのディレクターであるマルコ・フットゥ氏は、業界の未来は“コネクテッド”(「接続された」という意味)なものになるという。「10年後には全ての自動車がコネクテッドになり、自律走行車への需要が増加する。自動車は、部品やクラウドサービス、他の自動車などさまざまな場所と通信するようになる。6Gはその頃には使用できるようになっているだろう」


 第3回ではフィンランドの6G開発を推進しているVTT フィンランド国立技術研究センターの動向について解説する。

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