「ランサムウェアによる一斉攻撃」で地方自治体に大打撃……被害状況は?:自治体を狙った攻撃【後編】
米国の地方自治体に対して相次いでランサムウェア攻撃が発生した。地方自治体のシステムが止まると、何が起きるのか。ランサムウェア攻撃によって生じた影響をまとめた。
米国の地方自治体を標的にしたランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が、2024年3月に相次いで発生した。これは地方自治体や企業を含めて、どのような組織にとっても決して対岸の火事ではない。どの自治体が狙われ、どのような被害が出たのかをまとめた。
大打撃となった地方自治体のランサムウェア被害
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連載:自治体を狙った攻撃
ランサムウェア攻撃を巡る最近の動きとは
テキサス州タラント郡は2024年3月21日(米国時間、以下同じ)にランサムウェア攻撃を受けたことを、2024年3月22日に公表した。この攻撃によってタラント郡のWebサイトが利用できなくなった。テレビ局FOX 4によると、タラント郡の不動産評価機関Tarrant Appraisal District(TAD)委員長のビンス・プエンテ氏は2024年3月25日に開いた緊急会議で、ランサムウェア攻撃集団「Medusa」から70万ドル(約1億500万円)の身代金要求があったことを明らかにした。
2024年3月16日、フロリダ州ペンサコラ市は2019年以来2度目のランサムウェア攻撃に遭遇した。同市は2024年3月18日からSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「Facebook」に攻撃の関連情報を投稿。市役所の電話システムに影響が出ていると説明した。2024年3月27日、電話システムは完全に復旧したという。ペンサコラ市は2024年4月2日、ランサムウェア攻撃によってデータが漏えいしたことを認めた。データ漏えいの範囲については「不明」だという。
ニューメキシコ州ベルナリオ郡は、2024年3月15日にランサムウェア攻撃を受けたと発表した。この攻撃によって検察局の業務に影響が出たという。ベルナリオ郡は攻撃後、セキュリティ対策を強化したと説明。中には、疑わしいメールのブロックやネットワークアクセスの制限、無線LANの無効化といった対策が含まれるという。
2024年3月15日の攻撃はベルナリオ郡を標的にしたランサムウェア攻撃の2回目だった。ニュースサイト『Albuquerque Journal』によると、ベルナリオ郡2022年6月にもランサムウェア攻撃を受け、留置施設の利用ができなくなった。
アラバマ州バーミングハム市も2024年3月、ランサムウェア攻撃による混乱に直面した。同市は2024年3月6日、ネットワーク障害が発生していることをFacebookで報告。非緊急時に行政へ連絡するための電話番号「311」など、一部サービスが停止したという。対策としてバーミングハム市は2024年3月22日に臨時の電話番号を設けた。ニュースサイト『AL.com』によると、2024年4月にもこの攻撃による影響が続いていた。
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