大型レイオフの裏で「インド人採用」をやめないUKGの“深い理由”:人員削減の対象は2000人以上
人事管理ソフトウェアベンダーUKGが従業員の14%をレイオフする計画を発表した。その一方で同社は、インドでの採用を強化している。背景には何があるのか。
人事管理システムベンダーUKGは、全従業員の14%をレイオフ(一時解雇)すると明らかにした。米国経済の減速を受けて、事業が十分に成長しなかったことが一因だとみられる。一方で同社は、インドでは積極的な採用を続けている。背景には何があるのか。
レイオフの裏で「インド人採用」をやめない深い理由
UKGは、KronosとUltimate Software Groupが2020年に合併して誕生した会社だ。Kronosは労務管理と勤怠管理システム、Ultimate Software Groupは人事系のソフトウェアベンダーとしてその地位を築いてきた。UKGのCEOを務めるクリス・トッド氏は、レイオフに際して従業員に書簡を送った。それによると、レイオフを通じた組織変更は「成長させるべき分野に注力し、新たな重点分野に投資するための柔軟性を確保するため」だという。
UKGが公開している調査レポート「2022 UKG Global Impact Report」によると、同社は2022年時点で、世界各地の拠点の合計で約1万5000人の従業員を雇用していた。同社はレイオフを公表した時点の全従業員数を公表していないが、レポートの数字に基づくとレイオフの対象は約2100人となる。
同社は採用活動を継続しているものの、本稿執筆時点で同社の求人ページで紹介されている求人のうち、半分以上はインドを拠点とするものだった。インドの都市を勤務拠点とした求人の中には、米国の顧客サポートに特化したものがある。給与の差し押さえを担当する部門のリーダーなど、米国での給与関連業務の経験を求める人材が対象のものもある。
調査会社Constellation Researchでバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるホルガー・ミューラー氏は、UKGに比べて他の人事管理システムベンダーは、インドの人材発掘に着手するのが早かったと指摘する。「UKGは人材コストが高額な地域を拠点とする期間が長過ぎた。UKGもようやくインドの人材を活用し始めた」。ミューラー氏はそう話す。
米国拠点に人材を配置することは、人事管理システムベンダーにとっての優位性につながらなくなっているとミューラー氏はみている。「ユーザー企業は米国を拠点とする顧客サポートに対してプレミアム料金を支払うつもりがなくなっている」(同氏)
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