AI未経験から「NLPエンジニア」になれる“最短ルート”はこれだ:自然言語処理の知識とキャリア【後編】
AI開発で重要な役割を果たすのが「自然言語処理(NLP)エンジニア」だ。NLPエンジニアとしてのキャリアを始めたい場合、まず何に着手し、どうステップアップしていけばいいのか。
「自然言語処理」(NLP)エンジニアは、AI(人工知能)技術の活用が広がる中で需要が高まると考えられる職種の一つだ。NLPエンジニアになるには、言語学や数学、プログラミングなど幅広い分野に精通する必要があり、キャリアを確立するまでには数年かかる可能性がある。NLPエンジニアのキャリアを検討しているなら、これから紹介する戦略的なステップを参考にしてスタートを切ろう。
「NLPエンジニア」になれる最短ルートはこれだ
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連載:自然言語処理の知識とキャリア
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1.学位を取得する
NLPエンジニアとして企業で働く場合、一定レベル以上の学位が求められるのが通例だ。以下の分野における学位の取得は、キャリアのスタート地点として最適だ。
- 言語学
- 自然言語の理論と構造の理解。
- 数学
- 線形代数、確率と統計、微積分など、NLPで使われるアルゴリズムの理解。
- プログラミング
- 言語理論や数学的抽象を、実用的なMLモデルやソースコードに変換。
特に言語学と数学の学位は、できるだけ早い段階で取得するのが望ましい。プログラミングは自己学習や教育の機会が豊富にある一方で、言語学や数学の知識は独学では習得しにくいからだ。
2.機械学習の知識を身に付ける
NLP初学者は、NLPシステムの基盤となる機械学習(ML)を学ぼう。
- 機械学習
- MLモデルの開発やトレーニング、メンテナンスのスキルは、NLPエンジニアにとって欠かせない。
- データ
- MLモデルの作成時は、大量のデータを扱う。データの構造やアルゴリズムを理解することで、効率的にデータを処理できる。
- データを整理するための「グラフ」「ハッシュテーブル」(連想配列)といった仕組みや、最適なデータを迅速に見つけるための「検索」「最適化」など技術を学習する。
3.実務経験を積む
NLPエンジニアを目指す人は、ソフトウェアエンジニアリングチームの一員としてNLPプロジェクトに参加する機会を探そう。インターンシップや、パートタイム(またはフルタイム)のポジションを探し、NLPプロジェクトがどのように運営されているか学ぶことができる。こうした機会が、学歴やこれまでの実務経験と相まって、キャリアの選択肢に大きな影響を与えることがある。
4.NLPスキルを磨く
AIおよびNLPプロジェクトに携わった後は、以下に関する知識と実践的スキルを磨き、専門性を高めよう。
- トークン化
- 元の数と数学的な関連性がない数列に置き換えること。
- 固有表現抽出(NER)
- テキストから特定の「固有名詞」を自動的に識別して抽出するプロセス。
- 感情分析
- 自然言語データから感情や意見を抽出し、それがポジティブ(肯定的)なのか、ネガティブ(否定的)なのか、中立的なのかを判断する。
「spaCy」「Gensim」「TensorFlow」「PyTorch」などのNLPツールやライブラリ(プログラム部品群)、フレームワーク(特定の機能を実装するための枠組み)に習熟することで、NLPの実践的な能力を身に付けることができる。
5.より高度な経験に挑戦する
NLPの基礎を学習し、実務経験を積んだ後は、より難しいプロジェクトに挑戦してみよう。例えば、ユーザーと対話できるチャットシステムの開発は、感情分析といった基本的な技術を用いるプロジェクトよりも、高度な技術や工夫が求められる。
社内でより難しいプロジェクトに挑戦してもいいし、新しい機会を求めて別組織のプロジェクトに関与する機会を探すこともできる。
6.さらなる教育を求める
学びに終わりはない。新しい学習コースを受講したり、ウェビナーに参加したり、研究論文を読んだりする他、言語学やコンピュータサイエンス分野の修士号や博士号の取得も視野に入れるべきだ。
より多くの学習と実践経験を積むことで、NLPエンジニアはより良いキャリアを目指すことができる。キャリアを通じて働き、学び、成長するというサイクルを積み重ねることが成功の鍵だ。
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