NTTが掲げる「IOWN」 次世代通信インフラ“普及の鍵”は?:IOWNの正体に迫る【中編】
IOWNはフォトニクス技術をベースとした新たなネットワーク構想だ。さまざまな企業が支持を表明している。普及に必要な取り組みは何か。
NTTは光ベースの技術によるネットワーク構想「IOWN」を掲げている。世界各国の通信機器ベンダーや半導体ベンダー、通信事業者がIOWNを支持している。フォトニクス(光学)ベースの技術を利用した次世代の通信インフラによって、既存のインターネットサービスに比べて速度や容量、遅延を改善したインターネットサービスを目指す。NTTやIOWNを支持する企業は、どのようにIOWNを広げていこうとしているのか。
「IOWN」普及に必要なものとは
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IOWNはフォトニクス(光学)ベースの技術を用いた「オールフォトニックスネットワーク」(APN)による通信インフラの実現を推進している。
APNには以下の要素技術が盛り込まれている。
- シリコンフォトニクス(シリコン基板上に光の回路を構築する技術)
- エッジコンピューティング
- 分散コンピューティング
NTTはIOWNの普及のために、具体的な技術ロードマップを策定し、技術開発を促進する必要があると考えている。同社によると、ロードマップを作成することで、分散型コンピューティング技術をIOWNへ取り入れる動きが加速する。広範なテクノロジー企業からの賛同を得ることにもつながる。
この目的のため、NTTと主要なパートナー企業は業界団体の「IOWN Global Forum」 を設立した。IOWN Global Forumに参加している企業には通信機器ベンダーのNokiaやEricsson、半導体ベンダーのNVIDIAやIntel、通信事業者のKDDIや中華電信の他にユーザー企業も参加している。
NTTは「IOWN Global Forumは単なる技術グループや技術プロジェクトのフォーラムではない」と強調している。目標が明確であり、実際の展開とユースケースを重視してユーザーに直接働きかけることを重視しているという。
2024年4月 、IOWN Global Forumはカナダで年次会議 を開催し、以下の内容を明らかにした。
- プロジェクトの進捗状況
- 見込まれる技術的進歩
- IOWN関係のエコシステム(複数の企業による共存共栄の仕組み)の拡大
- 主要なステークホルダーにとってのIOWNの意味
約140社から代表者が参加したセッションでは、IOWN Global Forumのミッションと取り組みに関する知見が提供され、以下の内容が示された。
- 2030年の基本的なビジョン
- フォトニクスによって推進されるより安全で持続可能な世界に向けた準備の方法
- オープンソースコラボレーションがいかにして将来の通信インフラを牽引する鍵になるか
- IOWN技術が2030年までにどのように出現し、何を達成する可能性があるか
通信機器ベンダーEricssonのインプリメンテーションコンポーネント部門のトップ兼IOWN Global Forumでマーケティング運営委員会の議長を務めるゴンザロ・カマリロ氏は「IOWNは決して大風呂敷を広げているわけではないことを通信業界に伝えるべきだ」と述べた。
IOWN Global Forumには、技術の開発や展開に関わる企業に加えて、応用研究に携わる人も参加している。
次回はIOWNのユースケースを考察する。
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