「OBOE」は“あの楽器”じゃなかった? 必修IT用語の意味:ソフトウェア開発の用語11選【第3回】
「SOLID」「ORM」「OBOE」は、ソフトウェア開発の効率性や信頼性を高める上で理解しておくべきIT用語だ。それぞれの意味や使い方を解説する。
ソフトウェア開発の効率性や信頼性を高める上で役に立つのが、「SOLID」「ORM」「OBOE」といった、ソフトウェア開発の原則を示すIT用語だ。開発者なら知っておくべき各用語の意味や使い方を解説する。
開発者なら知っておくべき「SOLID」「ORM」「OBOE」とは?
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SOLID
SOLIDとは、ソフトウェア開発における設計の原則をまとめたもので、より保守しやすい、拡張しやすいソフトウェアを設計するための指針だ。SOLIDの原則を守ることで、アプリケーションの信頼性や、システムのメンテナンス性向上につながる。
SOLIDは、以下5つの原則から成り立つ。
- Single Responsibility Principle(単一責任の原則)
- クラス(データとメソッドの定義を含むオブジェクトの設計図)やモジュールは単一の機能や役割を受け持つべきだ。
- Open-Closed Principle(開放閉鎖の原則)
- クラスやモジュールは、修正に対しては閉鎖的で、拡張に対しては開放的であるべきだ。つまり、新しい機能を追加するときに既存のソースコードを変更せずに済むように設計する必要がある。
- Liskov Substitution Principle(リスコフの置換の原則)
- サブクラス(子クラス)は、その基となるスーパークラス(親クラス)の代わりとして機能する必要がある。つまり、スーパークラスのオブジェクト(データとメソッドをまとめたもの)をサブクラスのオブジェクトに置き換えても、プログラムの正しさは保たれていなければならない。
- Interface Segregation Principle(インタフェース分離の原則)
- クライアント(クラスやモジュール)は、不要なメソッド(操作)に依存すべきではない。インタフェースを複数の小さなインタフェースに分けて、それぞれのクライアントが必要なものだけを使うようにする。
- Dependency Inversion Principle(依存関係逆転の原則)
- 高水準のモジュール(抽象的な部分)が低水準のモジュール(具体的な部分)に依存してはいけない。
例えば、コードレビューで「ここはSOLIDの開放閉鎖の原則を守れていない」と指摘し、ソースコードの改善点を議論するといった具合で使われる。
ORM
ORMは、「Object Relational Mapping」(オブジェクトリレーショナルマッピング)の略称。オブジェクト指向プログラミングとリレーショナルデータベース(RDB)の間のデータ変換を助ける技術を指す。
ORMツールを使うと、データベースを直接操作するよりも簡単にデータを扱うことができる。オブジェクト指向コードとリレーショナルデータベースの仕組みの不一致を緩和するため、RDBを利用するアプリケーションは、「Hibernate」「JPA」「Toplink」などのORMツールを使用することがある。
例えば、データベースアクセス部分の設計を検討する際に、「ここはORMを使って実装した方がいい」と提案されることがある。
OBOE
OBOEは「Off By One Error」(オフバイワンエラー)の略称。プログラムを書く際に、カウントやループの開始条件や終了条件が1つだけずれてしまうエラーを指す。
例えば、条件論理演算で、不等号演算子の「より小さいか等しい」(≤)と不等号演算子「より小さい」(<)を間違えることで、ループの反復回数が1回少なく終了したり、1回残した状態で終了したりすることがある。この状況をOBOEと呼ぶ。
OBOEを防ぐためには、インデックスや境界条件を正しく設定し、プログラムをしっかりテストすることが大切だ。コードレビューで、「このループ、OBOEになりそうだから注意して」と指摘し、バグを未然に防ぐために使われることがある。
次回は、基本的なIT用語についておさらいする。
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