まるでライドシェア? スイス全土に「ドローン」300台を配備:Nokiaのドローンネットワークを活用
スイスの通信事業者がNokiaのサービスを活用し、スイス全土に300台のドローンを配備する。配備したドローンをどのように活用する計画なのか。
スイスの通信事業者Swisscom Broadcastは、スイス全土に300台のドローンを配備するために、通信機器ベンダーNokiaのネットワークサービス「Nokia Drone Networks」を導入した。Nokia Drone Networksを活用し、国全土にドローンを配備する取り組みは、ベルギーの通信事業者Citymeshに続く2例目だ。ドローンをスイス全土に配備し、どのように活用する計画なのか。
まるでライドシェア? ドローン300台の活用方法とは
併せて読みたいお薦め記事
ドローンの活用方法
Swisscom Broadcastのプロジェクトは「サービスとしてのドローン」(drones-as-a-service)を提供することで、スイスの事故や災害への対処、「インダストリー4.0」(第4次産業革命)の取り組みを支えるものだ。それと同時に、同プロジェクトは以下を目指す。
- ドローンの自動飛行
- 目視外での操作(BVLOS)
- ドローン向け移動通信システムの活用
遠隔操作のドローンを活用すれば、災害発生から数分以内に現地の情報を収集し、ファーストレスポンダー(災害時に初動対応に当たる警察や消防など)が状況を把握しやすくなる。初動対応が早まれば、事故に巻き込まれた人命の救助にも貢献できる。ファーストレスポンダーの安全性向上にも寄与するとNokiaは説明する。
Nokiaによると、スイスの警察や消防がライドシェアサービスを利用する感覚でSwisscom Broadcomにドローンの飛行を要請できるようになる。NokiaとSwisscom Broadcastは専門知識の提供や法令順守、データの収集と分析についても支援する。
Swisscom Broadcomが提供するドローンは、スイスの産業分野で作業員の安全性向上のためにも活用される見込みだ。ドローンを活用して高所のインフラを検査すれば、作業員が危険な場所に登って作業する必要はなくなる。
Nokia Drone Networksは、ドローン運用に必要な要素が1つにまとまった「Drone In A Box(DiaB)」という方式のサービスだ。以下が含まれる。
- ドローン本体
- ドローンを格納するドッキングステーション
- ビデオカメラとサーマルカメラ
- 運用に必要なソフトウェア
- サードパーティー製品と連携するためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)
- 交通監視システム、産業分野の検査システムやプロセス監視システムなどと連携
Nokia Drone Networksは、3D(3次元)マップの作成といった、産業分野のユーザー企業向けのアプリケーションを追加しやすい仕様にもなっている。
ドローンは、スイス全土で利用できるようになる見通しだ。NokiaとSwisscom Broadcastは規制当局と協力し、周波数帯や航空安全の規制の枠組みに沿うように取り組むとしている。
Swisscom BroadcastのCEOを務めるドミニク・ミュラー氏は「当社とNokiaが協業することで、スイスでの『サービスとしてのドローン』の市場投入を加速できる」と話す。「当社のドローン運用のノウハウ、Nokiaのハードウェア、さらにオープンで将来性のあるソフトウェアアーキテクチャを組み合わせることが重要だ」(同氏)
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.