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パブリッククラウドではなく「プライベートクラウド」こそが“お得”になる条件プライベートクラウドのコスト抑制方法【前編】

クラウドインフラのリソースを自組織で専有するプライベートクラウドは、構成や運用方を工夫することでコスト効率を改善することができる。プライベートクラウドの基本とコスト効率を改善する方法を紹介する。

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 クラウドインフラを自社で専有する「プライベートクラウド」は、適切に構成して管理すれば、クラウドインフラを他社と共有して使う「パブリッククラウド」よりもコスト効率が良くなる可能性がある。とはいえ、プライベートクラウドを導入すれば自動的にコスト低減が保証されるわけではない。ユーザー企業は、自社のインフラに合わせてコストを戦略的に管理する必要がある。

 プライベートクラウドのコスト効率を高めるにはどうすればいいのか。プライベートクラウドに期待できるメリットと併せて紹介する。

プライベートクラウドのコスト効率を高めるには?

 パブリッククラウドでは通常、ユーザー企業はインフラを他のユーザー企業と共有して利用し、利用する分だけの料金を支払う。それに対してプライベートクラウドでは、ユーザー企業はインフラを自社で占有して使うことができる。

 プライベートクラウドを利用することで、ユーザー企業は以下を期待できる。

  • 運用コストの低減
    • 設備投資(CAPEX)がかかる代わりに運用コストが安価になる傾向がある。自社でインフラを所有すれば、インフラベンダーに月額料金を支払う必要がないからだ。
  • 構成の柔軟性とコントロール
    • 要件やコストに応じて、ハードウェアとソフトウェアの構成を自社で選べる。パブリッククラウドでは提供されているハードウェアとソフトウェアからしか選べない。
  • パフォーマンスの向上
    • ハードウェアを他社と共有しないので、あるアプリケーションの動きが他のアプリケーションの動作に影響する「Noisy neighbor」(迷惑な隣人)問題を回避できる。「CPU」(中央処理装置)やメモリ容量に対して、相対的に優れたパフォーマンスになる可能性がある。

 以降で紹介する6個のベストプラクティスに従うことで、プライベートクラウドのコストを最適化できる可能性がある。

1.可視性を向上させる

 プライベートクラウドの投資利益率(ROI)を確保するための第一歩は、可視性を高めることだ。プライベートクラウドのコスト計算は、クラウドインフラの初期コストと継続的な運用経費(OPEX)の両方を考慮する必要があり、難しい場合がある。

 コストを計算するために、ユーザー企業が管理すべき支出は以下の通りだ。

  • ハードウェア費用
    • 初期費用に加えて、ストレージを交換するなどの交換費用
  • 人件費
    • プライベートクラウドの構築と保守のためのスタッフの費用
  • コロケーション費用
    • プライベートクラウドを稼働させるデータセンター内のスペースの費用
  • エネルギー費用
    • プライベートクラウドの運用に必要な電気代
  • ネットワーク費用
    • プライベートクラウドから他のインフラにデータを移動させるためのネットワークサービスの料金

 これらの費用を継続的に監視することで、企業はプライベートクラウドの支出をより詳細に把握できる。

2.ハードウェアを早期廃棄しない

 プライベートクラウドのROIの総額を決定する主な要因は、サーバの使用期間だ。仮に100万ドルを投じてサーバを購入しても2年間しか使用せず、交換するのにさらに100万ドルを支払う場合、サーバは年間50万ドルのコストとなる。これではROIが高いとは言えない。

 ハードウェアの耐用年数が過ぎる前に廃棄しないようにすることは、コスト効率を向上させる方法の一つになる。

 ハードウェアの寿命を延ばす工夫も重要だ。サーバを適切に冷却することで、過剰な熱が発生する「オーバーヒート」を未然に防ぎ、寿命を延ばせる可能性がある。サーバ内部にあるHDDは故障しやすいが、サーバごと交換しなくてもHDDだけ個別に交換できる。

 ただし、ハードウェアを無理に使い続けると、予期せしないタイミングでの故障を招いてしまい、複数のアプリケーションに影響を与える可能性がある。コスト効率を高めたいがために、こうしたリスクを取ってまでハードウェアを使い続けてはいけない。

3.サーバ密度を最大化する

 サーバはその処理負荷に応じて、ホストできるアプリケーションの数が変わる。つまり、サーバへの負荷を抑えるほど、必要なサーバの総数が少なくなり、プライベートクラウド全体のコスト削減につながる。

 複数のサーバに通信を分散させるロードバランサーや、「Kubernetes」などのコンテナオーケストレーションツールによって負荷を分散させることができる。Kubernetesには、サーバへの負荷や通信量に応じて、アプリケーションに割り当てる「Pod」(Kubernetesクラスタにおけるアプリケーションの実行単位)を増減させる機能がある。


 次回はプライベートクラウドのベストプラクティスの4〜6個目を紹介する。

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