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ネットワークを「オンプレミス回帰」する理由 なぜ脱クラウドが進むのかネットワークと脱クラウドの現実【前編】

自社のデータやアプリケーションをクラウドサービスからオンプレミスインフラに戻す動きが、ネットワークにも及んでいる。企業がネットワークをオンプレミスに戻す理由とは。

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脱クラウド | インフラ | ネットワーク


 クラウドサービスが今後も存在し続けることは間違いない。今やほとんどの企業が何らかの形で、クラウドサービスを業務に利用している。しかしそれと同時に、一部の企業はクラウド戦略を修正し、クラウドサービスからオンプレミスインフラへの回帰を始めている。ネットワークも例外ではない。企業はなぜネットワークをオンプレミスに戻すのか。

ネットワークを「脱クラウド」する理由とは

 企業はルーターやスイッチといった、ネットワークを構築するために欠かせない機器を、クラウドサービスとして利用できる。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機にネットワーク関連の機器や機能をIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)に移行した企業の一部は、やがて社内運用していたときよりコストがかさむことに気付くことになった。調査会社Nemertes Researchによると、クラウドサービスでアプリケーションを実行した場合、オンプレミスインフラよりもコストが高くなる傾向にある。

 企業の努力によってクラウドサービスのコストを抑制すること効率化は可能だ。Nemertes Researchによると、最大で約45%のコスト削減を実現した企業もある。以下のような方法でコストを抑制できる。

  • クラウドサービスに適したネットワークのタスクやアプリケーションのみを移行する
  • 移行したいアプリケーションをよりクラウドサービスに適したものにする
    • リファクタリング(ソフトウェアの内部改善)、リアーキテクチャ(オンプロミスで構築したソフトウェアをクラウドへ移行)、新しいソフトウェアへの置き換えなどの方法がある。

オンプレミス回帰で期待できる効果

 企業がネットワーク関連業務をクラウドサービスからオンプレミスインフラに戻す理由として、以下が挙げられる。

  • 距離によるレイテンシ(遅延)の削減
  • セキュリティ対策
    • インターネットを通じてアクセスするクラウドサービスから、外部からの遮断したオンプレミスインフラに戻すことによってファイアウォールやデータへ攻撃されるリスクを低減する

 オンプレミスインフラに回帰する際、エンジニアはクラウドサービスとデータセンターのネットワークの違いがどのような影響を生むかを検討し、影響を軽減する方法を決定する必要がある。

 ネットワークをオンプレミスインフラに移行する前には、ネットワークが既存のオンプレミスインフラのアーキテクチャに統合する準備が整っていること、移行作業を実行する準備が整っていることを確認しなければならない。ネットワークインフラの一部に問題があれば、そのネットワークインフラに接続しているシステムだけでなく、より広範なシステムに影響を与えかねない。


 次回はクラウドサービスからオンプレミスインフラにネットワークを回帰する際の注意点を説明する。

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