いまさら聞けない「MSI」 Windowsアプリ“残留ごみ”はこれが原因?:「MSIX」を知る【前編】
「Windows」アプリケーションの配布には、「MSI」形式のファイルが用いられてきた。MSIの強みと、Windows搭載デバイス運用の障壁になる“弱点”とは。
MicrosoftのOS「Windows」用のソフトウェアインストーラー「Windows Installer」は、ファイル形式として「MSI」を採用している。企業向けWindowsアプリケーションの配布の主流であり続けるMSIとは、どのようなフォーマットなのか。概要と利点の他、Windowsアプリケーションのアンインストールが引き起こす問題を紹介する。
「MSI」とは? Windowsアプリのアンインストールではあの問題も
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MSIはアプリケーションをパッケージ化して、インストールプロセスを簡素化し、インストール手順を統一するためのフォーマットだ。登場以来、Windows用ソフトウェア導入の要となっている。
MSIを使用するメリット
MicrosoftはMSIを導入することによって、アプリケーションの集中管理と展開プロセスを効率化した。MSIには主に以下の利点がある。
- 標準化
- MSIはアプリケーションのインストール手順を標準化し、IT管理者が多様なデバイスでアプリケーションを管理する手助けをする。
- カスタマイズ性
- IT管理者は、MSIファイル用の変換ファイル(「MST」形式)を使用することで、MSIファイル内のインストール設定を自社のニーズに応じてカスタマイズできる。
- ロールバックと修復
- Windows Installerは、MSIファイル内の情報を用いて、インストール時に問題が発生した場合にインストールをロールバックできる。
- Windows Installerには、壊れたインストールを自動で修復する自己修復機能がある。
- 管理インストール
- Windows Installerの「管理インストール」を使うことで、インストールにかかる手間を削減できる。管理インストールはネットワーク経由でアプリケーションをインストールする機能。
- グループポリシーとの連携
- ID・アクセス管理システム「Active Directory」を導入している場合、エンドユーザーやデバイスごとの設定を一元管理する機能「グループポリシー」とMSIファイルを組み合わせることで、アプリケーションを一括配布できる。
企業はMSIファイルを、Windowsにアプリケーションをインストールする主要な方法として活用してきた。MSIファイルを通じたインストールは、バージョンの一貫性やスケーラビリティ(拡張性)、管理性が重要な、アプリケーションの大規模展開に適する。
ただしMSIファイルを通じてインストールしたアプリケーションは、OSに不要な残留物を残す場合がある。アプリケーションをアンインストールしても、アプリケーション用のファイルやレジストリ(Windows設定情報のデータベース)内の設定情報が残ってしまうのだ。ソフトウェアのインストールとアンインストールを繰り返すことで、PCのパフォーマンスに悪影響を及ぼす恐れがある。
Microsoftはこの問題に対処するため、新たなフォーマットとして「MSIX」を開発した。
次回は、MSIXの概要やメリットを紹介する。
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