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「RAG」の進化に寄せられる“7つの期待”とは?:「LLM」×「RAG」を徹底解説【後編】
LLMの回答精度向上に役立つ技術として、「RAG」(検索拡張生成)への注目が集まっている。今後RAGにはどのような進化が期待されているのか。
大規模言語モデル(LLM)と「RAG」(検索拡張生成)を組み合わせる手法が、企業の関心を集めている。RAGは、学習データ以外に外部のデータベースから情報を検索、取得し、LLMが事前学習していない情報も回答できるように補う手法だ。今後、RAGにはどのような進化が期待されているのか。
「RAG」の進化に寄せられる“7つの期待”
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連載:「LLM」×「RAG」を徹底解説
RAGを使うなら知っておきたい知識
- パーソナライズ性の向上
- RAGは将来的に、会話の履歴や文脈、個人の嗜好に基づいて情報を検索できるようになる。
- 分野横断的な知識の融合
- ヘルスケア、教育、金融、カスタマーサービスなど、幅広い産業へのRAG適用が進む。LLMの豊富なナレッジベースと、企業独自のデータを組み合わせることで、より広範かつ精度の高い回答や洞察を提供する。
- 例えばヘルスケアにおいて、個々の患者記録と医学文献を組み合わせることで、よりパーソナライズ化した患者ケアを実現する。
- リアルタイム性の強化
- 企業が継続的にデータベースを更新することで、RAGは最新の情報を取り入れて、回答の鮮度を高めることができる。
- 知識格差の解消
- RAGを使うことで、専門的な知識を持たない人でも幅広いデータにアクセスして簡単に活用できるようになる。この結果、コストや人的資源が不足している中小企業が、大企業との競争力を手に入れることができる。
- 責任あるAIの強化
- RAGにおいて、特にデータのプライバシーとセキュリティの確保が重要となる。「責任あるAI」(公平性や透明性、安全性の確保を考慮したAI技術)の考え方を中心に、RAGシステムの開発における透明性やユーザーへの説明責任が重視される他、データの使用や出力結果についての監査や説明の責任が強まる。
- バイアスと誤情報の対策
- RAGで扱うデータには、バイアス(偏見)や誤情報が含まれる可能性がある。これからのRAGシステムには、バイアスを特定して排除し、正しい情報を提供するためのメカニズムが組み込まれる。
- 人間とAI技術による協働
- 将来的に、人間とAI技術はより協力していくと考えられる。RAGは単に情報を提供するだけでなく、人間の創造的なパートナーとしての役割を担う。AI技術の持つデータ処理能力やパターン認識力で、人間が持つ創造性をより伸ばしていくと期待される。
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