「AI性能は6カ月で倍増」──MicrosoftナデラCEOが予測する“3つの技術的変化”:新しいスケーリング則が出現?
Microsoftのサティア・ナデラCEOは、「Microsoft Ignite 2024」の基調講演で、自然言語処理モデルの新しいスケーリング則が出現すると言及した。それは3つの技術的な変化をもたらすという。どのような変化なのか。
人工知能(AI)技術の性能が6カ月ごとに倍増している──MicrosoftのCEOサティア・ナデラ氏は、2024年11月開催のイベント「Microsoft Ignite 2024」の基調講演でそう語った。「18カ月で半導体のトランジスタ集積数が2倍になる」というムーアの法則になぞらえたものだ。
自然言語処理モデルでは、パラメータ数、データセットのサイズ、計算量が増えるほど、性能がべき乗則に従って向上する「スケーリング則」という法則があるが、ナデラ氏は、新しいスケーリング則が出現すると予測。こうしたスケーリング則は、3つの技術的な変化をもたらすという。その内容とは。
3つの技術的な変化とは
ナデラ氏が紹介する変化は以下の3つだ。
- ユニバーサルマルチモーダルインタフェースの出現
- エンドユーザーは、入力と出力の両方において、音声や画像、動画といった形式のデータを1つのインタフェースで扱えるようになる。
- 新たな推論手法の出現
- ニューラルネットワーク(人の脳の神経細胞をモデル化した情報処理システム)の演算方法を代数的に表現する「ニューラル代数」によって、事象の複雑なパターンを検出し、事象同士の関係性を特定できるようになる。
- 長期的かつ大量に過去の情報を理解できる仕組みの出現
これらの3つの要素が組み合わさることで、人に代わってさまざまな業務を実行できる複数のAIアシスタントが連携して、企業全体の業務を支援できる体制を構築できるようになるとナデラ氏は見込む。
Microsoftは同イベントで、AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の新機能を発表した。以下は新機能の一例だ。
- 社内ポータルサイト構築ツール「Microsoft SharePoint」で、コンテンツを迅速に検索、参照できる機能
- コラボレーションツール「Microsoft Teams」で、会議内容をリアルタイムで音声通訳する機能
- 「Microsoft 365 Copilot Business Chat」で、人事部門やIT部門への問い合わせや申請を処理できる機能
開発者が独自にAIツールを開発できる「Azure AI Foundry」(旧Azure AI Studio)も紹介した。開発からデプロイ(配備)、管理までのプロセスを一貫して実行できる。ソースコード共有サービス「GitHub」や統合開発環境(IDE)「Visual Studio」、チャットbot型のアシスタント設計ツール「Microsoft Copilot Studio」からアクセス可能だ。
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