AMDは4%削減へ ITベンダーに共通する“人員削減の本音”:レイオフが続く本当の理由
半導体ベンダーのAdvanced Micro Devices(AMD)は、従業員の4%を削減する計画を明らかにした。同社の今回の計画は、IT業界で続いている人員削減の例に共通する部分がある。何が原因なのか。
IT業界における人員削減の動きが目立つ中、半導体ベンダーAdvanced Micro Devices(AMD)は他ベンダーに追随する形で、従業員の4%を削減する計画だと明らかにした。これは同社にとって「大きな機会」を見据えたものだという。他ITベンダーのレイオフ(一時解雇)にも共通するその理由とは何なのか。
あのITベンダーも 人員削減に共通する狙いとは?
AMDは2023年末に2万6000人の従業員を抱えていた。その4%だとすると、人員削減の対象は約約1000人に相当する。同社にとっての「成長機会」は、間違いなくAI(人工知能)技術にある。同社のデータセンター向けのAIアクセラレーター「Instinct」シリーズとPC向けの「Ryzen」シリーズがけん引し、同社の2024年7〜9月期の売上高は、前年同期比18%増となった。「サーバ向けプロセッサの『EPYC』とInstinct、Ryzenの強い需要に支えられて記録的な売上高を達成できた」と、AMDのCEOリサ・スーは述べた。
「AI需要を背景にした勢いを維持するために、AMDは従来の技術からAI分野へと軸足を移し、それを推進するために人員を整理する必要がある」。労働市場調査会社Janco AssociatesのCEOであるビクター・ジャヌレイティスはそう述べる。AMDはAI技術の最先端の市場にまだ追い付けていないとみている。
2024年8月にAMDは、データセンター向けのAIおよびクラウドコンピューティングシステムの設計・製造を手掛けるZT Systemsを49億ドルで買収する計画を発表した。AMDは2025年の前半にこの取引が完了する見込んでいる。
こうした計画があるにもかかわらず、AMDの成功は、製品開発のためのAI人材の採用と維持に左右される状態だと言える。米国証券取引委員会(SEC)への最新の提出書類で、AMDは機械学習などのAI分野に関する知識を持つ人々の獲得競争について「激しい」と説明している。AI関連の学位を持つ大学卒業生の数は増加しているが、需要を満たすには不十分だ。「学生が増えてもAI分野で活躍できる人材がすぐに増える訳ではない」(ジャヌレイティス氏)。AMD以外にも、AIスキルを持つ労働者を追求するために従業員を解雇する企業は存在する。
2024年8月、Cisco SystemsはAIやセキュリティ、クラウドといった成長市場を見据えて事業を再編成する一環として、従業員の7%に当たる6300人以上を削減する計画を発表した。
AMDのライバルであるIntelの不振は、AI市場に乗り遅れた一例だ。Intelは2024年末までに従業員数を15%削減する計画だ。これは1万5000人以上に相当する。同社の問題の大部分は、データセンター市場においてAMDおよびNVIDIAに対抗する競争力のあるAI関連製品を持っていなかったことに起因していると業界関係者はみている。
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