週休3日制の“メリットは明らか”なのに、企業がためらう“残念な理由”:幸福度と生産性が向上
週休3日制は従業員の幸福度と生産性の向上につながることを示す実験結果を、英国の研究チームが発表した。一方、大部分の企業が導入をためらう事情もある。どのような要因があるのか。
週4日勤務(週休3日制)は、従業員の幸福度と生産性の向上につながる──。これは英国の研究チームが発表した実験結果だ。研究チームは「メリットは明らか」と主張するが、それでも大部分の企業が導入に踏み切れない要因があるという。どのような要因なのか。
企業が週4日勤務導入をためらう残念な理由とは?
オンライン学習サービスを提供する英国の企業Thrive Learningとサセックス大学(University of Sussex)は2024年7〜10月、Thrive Learningの従業員115人分のデータを収集した。具体的には以下の通りだ。
- MRI(磁気共鳴画像法)の検査結果
- 血液検査の結果
- 睡眠トラッキングの結果
- 職場での状況や健康状態に関する週次アンケート結果
研究チームによると、週4日勤務の導入前と導入後を比較して、ストレスレベル、睡眠の質などの指標が改善した。このことは、ワークライフバランスの向上を示す。
この結果を踏まえて、サセックス大学の心理学者シャーロット・レイ氏は週4日勤務が心身の健康を大幅に改善すると主張する。「睡眠の質の向上、ストレスや疲労の軽減は、われわれの健康に影響を与え、仕事と生活の質を向上させる可能性がある。この研究は、多様な働き方のメリットを示す上で説得力のある証拠になる」(レイ氏)
研究チームは、仕事の生産性への影響について、労働時間が短縮されたにもかかわらず、従業員の業務遂行能力は変わらず、目標達成度と自己効力感(目標達成のための能力を自身が持っていると認識すること)の向上が見られたとも報告した。
Thrive Learningの共同CEO、キャシー・ガッソン氏は「この実験をする上で、当社がITに重点を置いた企業であることが、さまざまな効果をもたらした」という見方を示す。同氏は「当社はIT分野の企業であるため、従業員はAI(人工知能)技術をはじめとしたツールをスムーズに活用でき、ワークフローを効率化することで、重要な業務を優先できた」と述べる。
一方、今回の実験では、従業員の健康と生産性にメリットがあるにもかかわらず、週4日勤務導入の難しさも浮き彫りになった。Thrive Learningはフルタイムでの週4日勤務の実施に意欲を見せるが、同社の主要顧客である英国企業のほとんどは、伝統的な週5日勤務を採用している。「当社は数百社にサービスを提供しており、顧客企業が週5日勤務を採用している場合、当社も週5日勤務にせざるを得ない」(同氏)
ガッソン氏は、英国政府が週4日勤務を実現させるための政策を検討すべきだと提言する。「週4日勤務が生産性を高め、従業員の健康を向上させ、国全体を豊かにすることは明白だ。英国は週4日勤務を他国に先駆けて導入し、恩恵を受けられる可能性がある」と同氏は主張する。
同時にガッソン氏は、週4日勤務が全ての企業に適しているわけではないと認識していることにも理解を示す。その上で、「顧客ニーズとのバランスを取り、繁忙期と繁閑期で働き方を変えるなど、持続可能な週4日勤務を模索する」と言い添える。
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