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衝動買いを促すには? アップセルを狙うならやるべき“4つの施策”データ分析から心理学まで活用

既存顧客に製品やサービスを追加で購入してもらうには、どのような手法が有効なのか。4つの施策を紹介する。

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 企業が収益拡大を考える場合、既存の顧客に着目するのは有効な手段だ。新規顧客に比べて既存顧客は、製品やサービスの追加購入を見込みやすいという向きもある。企業がアップセル(上位モデルや高機能の提案)を狙うには、どのような手法が有効なのか。4つの施策を紹介する。

衝動買いも誘える“4つの施策”とは

1.販売ファネルの“穴”を発見する

 顧客情報を収集し、製品やサービスのアップセルに利用する手法は目新しいものではない。通訳機器のEコマース(EC:電子商取引)サイトを運営するTranslation Equipment HQの創業者ウィル・ワード氏は「顧客の購買習慣に基づいて収集・分析したデータは、販売ファネル(消費者が製品やサービスを認知してから購入するまでのプロセスを段階的に示すモデル)の“穴”を埋め、既存顧客だけではなく新規顧客の購買も促す」と述べる。

 「例えば、ECサイトで、カートに商品を残したまま購入しないが多い場合、ユーザーエクスペリエンス(UX)に問題がある可能性がある。データがなければ、こうしたファネルの穴は見つからない」(ワード氏)

 デジタルマーケティングのコンサルティング会社EWR DigitalのCMO(最高マーケティング責任者)マット・バートラム氏は「購入履歴や顧客の好み、製品の人気度合いなどのデータを集約することで、顧客が次に何を購入したいかを導き出せる」と述べる。このような技術は、CXM(顧客体験管理)システムに組み込まれている。

 バートラム氏は、「顧客の購買行動のパターンを特定することで、衝動買いを引き起こす可能性のある重要なタイミングで別の製品を提示できる。製品の関連性と適切なタイミングを組み合わせることで、顧客体験を向上させるアップセルを提案できる」と説明する。

2.顧客をセグメント化する

 企業は、豊富な顧客データを保有している。そうしたデータを基にした顧客のセグメント化は、適切な提案を適切なタイミングで実施するのに役立つ。しかし、フィットネスに関する情報を発信するWebサイト「BarBend.com」を運営するBarBendの元パートナーシップ担当ディレクター、マックス・ホワイトサイド氏は「企業はそうしたデータを適切にセグメント化する必要がある」と助言する。

 BarBend.comの顧客は、製品レビューや機器に関する情報、フィットネス関連のニュースを読む傾向にある。同社はアップセル戦術として、顧客が閲覧するコンテンツやメールアドレスを取得し、リードマグネット(見込み客に個人情報と引き換えに提供するコンテンツ)を発信している。

3.適切なメッセージを発信する

 例えば、BarBend.comは筋力トレーニング器具の販売促進キャンペーンを展開する際、栄養に関するコンテンツにしか興味がない顧客にはメールは送信しない。「彼らはコンバージョンする可能性が低いだけではなく、製品への興味を失う可能性がある。われわれにとって最悪のシナリオだ」とホワイトサイド氏は付け加える。

 ECとメールマーケティングを連携させることは、アップセルやクロスセル(関連商品の売り込み)の有効な手法になると、コーヒー愛好家向けのWebサイト「Coffeeble.com」の創設者トーマス・フルツ氏は述べる。「一緒に使うと相性のよい製品を勧めたり、交換や補充が必要な製品の再購入を促したり、過去に一定額の製品を購入したロイヤルカスタマーに特別な割引を送信したりできる」と説明する。

4.心理学の手法を組み合わせる

 衝動買いを促すには、心理学の知見を活用することも一考だ。例えば、企業がECサイトや店舗で利用できる顧客の心理の一つに、“見逃すことの恐れ”がある。「ホリデーシーズンが近づくと、企業は期間限定のセールを実施し、衝動買いを促す」とTranslation Equipment HQのワード氏は述べる。

 かつては、企業は実店舗でのアップセル戦略とツール導入に苦労していた。しかし、顔認識技術を使えば、顧客が店内を見て回る際に何に興味を抱いているかを特定し、そのデータをロイヤリティープログラム(リピーターに割引を提供すること)と結び付けることが可能になると、半導体メモリのベンダーGSI TechnologyのAIプロセッサ担当マーケティングディレクターであるマーク・ライト氏は述べる。

 「実店舗で顧客が何を見ているか、ある棚の前でどれくらいの時間を過ごしたかを分析し、興味のある製品を予測して提案できるようになった」とライト氏は述べる。ロイヤリティープログラムとECサイトの顧客データを統合させ、実店舗での顧客の行動に基づいてECサイトで製品を提案できるとライト氏は付け加える。

 従来のアップセル戦略に、先進的な技術、心理学の知見を組み合わせることで、企業は既存の顧客に衝動買いを促すための手法を生み出すことができる。適切なデータを収集し、適切にセグメント化し、ターゲットとなる顧客に適切な提案をすれば、企業は利益を拡大できる。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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