Windows Server 2025と同時公開、「System Center 2025」の新機能とは:System Center 2025の新機能【後編】
「Windows Server 2025」と合わせ、インフラ管理ツール群System Centerの最新バージョン「System Center 2025」が登場した。最新バージョンになることで何が変わったのか。新機能をまとめた。
「Microsoft System Center」(以下、System Center)は1990年代に登場して以来、長年にわたって企業におけるサーバOS「Windows Server」の運用を支えてきたインフラ管理ツール群だ。Microsoftは2024年11月にサーバOS新バージョン「Windows Server 2025」の一般提供を開始するのと同時に、System Centerの最新バージョン「System Center 2025」の一般提供も開始した。この新バージョンでは何ができるようになったのか。新機能をまとめた。
「Microsoft System Center 2025」の新機能
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System Center 2025の新機能
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管理できるインフラ対象
MicrosoftはSystem Center 2025について、ハードウェアやソフトウェアが異なる複雑な“異機種環境”の支援を改善したと説明している。登場当初、System CenterはMicrosoft製品の管理のみを目的としていた。その後、MicrosoftはOS「Linux」や、仮想化ソフトウェアベンダーVMware(2023年11月に半導体ベンダーBroadcomが買収)のハイパーバイザー製品など、競合他社の製品も管理できるように機能を追加してきた。とはいえそうした機能は、あくまでも“付け足し”の存在でしかなかった。
System Centerには、「System Center Virtual Machine Manager」(SCVMM)というツールがある。これはMicrosoftのハイパーバイザー「Hyper-V」を大規模に展開している場合に、管理と監視を一括できる仮想マシン(VM)管理ツールだ。MicrosoftはSystem Center 2025のSCVMMについて、「VMware製品のVMをHyper-Vに変換する際の“互換性の問題”が起きにくくなる」と述べている。
データのバックアップとリカバリーを実施するための「System Center Data Protection Manager」(SCDPM)にも、新たな機能が加わった。新しいSCDPMでは、VMwareのVMであっても「TPMパススルー」(vTPM)を利用できるようになる。vTPMはセキュリティモジュール「TPM」(Trusted Platform Module)の暗号化機能を仮想的に提供する機能だ。これにより、機密データを扱う際にハードウェアベースのセキュリティを利用できる。
MicrosoftのHCI(ハイパーコンバージドインフラ)「Azure Local」(「Azure Stack HCI」の後継)のユーザー企業は、新機能を活用することでオンプレミスインフラとクラウドサービスの両環境の可視性を高められるようになる。これにはインフラを監視して必要に応じてアラートを発出するツール「System Center Operations Manager」(SCOM)やSCVMMを活用する。
新しいSCDPMは、社内ポータルサイト構築ツール「Microsoft SharePoint」のオンプレミス版「SharePoint Server」のサブスクリプション版「SharePoint Server Subscription Edition」と連携できるようになる。SCDPMでHyper-Vの仮想環境をバックアップする場合、特定のストレージをバックアップ対象から除外しておくことも可能だ。
セキュリティの強化
System Center 2025では、主にセキュリティの強化に焦点が当てられている。時代遅れで安全ではないとされる認証プロトコル「CredSSP」(Credential Security Support Provider Protcol)と「NTLM」(NT LAN Manager)は、ほぼ完全に排除された。System Center 2025は、各コンポーネント間で送信されるデータを保護するために暗号化プロトコル「TLS」(Transport Layer Security)のバージョン「1.3」と、暗号化に関する最新の標準機能をサポートする。
新しいSCDPMでは、暗号化キーとシークレット(機密情報の断片)を保存するクラウドツール「Azure Key Vault 」にパスフレーズを保存する。これにより、攻撃者や、悪意のある管理者がパスフレーズにアクセスし、バックアップデータを復号するのを防ぐことができる。
新しいSCVMMでは、Hyper-Vで新しくVMを作成する際、第2世代VMが標準の選択になる。これはWindows Server 2025と同じ仕様だ。この変更から分かるのは、Microsoftが仮想化環境でのセキュリティ強化を重視していることだ。第2世代VMは、安全な起動を確保するために、ハードウェアを制御するプログラムの規格「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)をファームウェアとして採用している。より大きなブートボリューム(OSファイルを保存する論理的な領域)での高速な起動のために、仮想SCSI(Small Computer Serial Interface:コンピュータとSSDやHDDなどの周辺機器を接続するためのインタフェース規格)ディスクを接続可能 だ。
Microsoft Azureとの連携の向上
2023年11月、MicrosoftはSCVMMに、クラウドサービスも含めてインフラをAzureのポータルで一元管理するためのツール「Azure Arc」の機能を追加した。またSCVMMとSCOの拡張機能「SCSPF」(System Center Service Provider Foundation)からAzureプロファイルのサポートを削除した 。
MicrosoftはAzure Arcで使えるSCVMMにより、異種のインフラが混在するハイブリッド環境でもAzureのポータルでVMを一元管理できるようにした。複数のインフラをMicrosoft Azureに接続し、Azureポータルを使用してVMの起動や停止、一時停止、削除することが可能になった。テンプレート、仮想ネットワーク、ストレージなどのVMリソースもAzureポータルを通じて表示できる。
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