データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由:VMwareを選ばない企業
VMware製品のライセンス変更に伴い、一部の企業は仮想化基盤の移行を検討している。データセンター事業者のContinent 8 TechnologiesはVMware製品からNutanix製品へ移行した。理由は何か。
データセンター事業者のContinent 8 Technologies(以下、Continent 8)は、仮想化基盤の一部をVMware製品からNutanix製品に切り替えた。同社はオンラインゲームやオンラインギャンブル業界を中心に、世界各国でデータセンターやマネージドクラウドサービスなどを提供している。
Continent 8が仮想化基盤の移行を決意した理由は何だったのか。なぜVMware製品から移行したのか。
Continent 8が「脱VMware」を決意した理由とは
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VMwareの移行先としてのNutanix
Continent 8は世界各国のオンラインゲーム業界やオンラインギャンブル業界向けに、同社が所有するデータセンターを利用して、マネージドクラウドインフラとその運用サービスを提供している。同社のデータセンターは仮想化基盤としてハイパーバイザーにVMware製品を利用していたが、その一部をNutanixのハイパーバイザー「Acropolis Hypervisor」(AHV)に切り替えた。
同社はそれと同時に、社内のアプリケーションのインフラとエンドユーザー向けクラウドサービスのインフラの大部分をVMware製品からNutanixのハイパーコンバージドインフラ(HCI)に移した。HCIはサーバ、ストレージ、サーバとストレージ間のネットワークをソフトウェアで統合したもので、これらの運用を効率化できる可能性がある。
半導体ベンダーBroadcomはVMwareを2023年に買収後、VMware製品のライセンス体系を変更している。だが、Continent 8で最高技術責任者(CTO)を務めるエドワード・オコナー氏によると、VMwareのライセンス体系の変更はNutanixへの切り替えの大きな理由ではなかった。
Continent 8は複数のエンドユーザーが同一のシステムやインフラを共有する「マルチテナント」環境をより拡張したいと考えていた。オコナー氏によればこの点で、Nutanix製品の方が需要を満たしていた。「VMware製品は成熟度が高いが、製品のロードマップとパートナーシップを重視した結果、当社にとってはNutanixの方がより好ましい選択だった」(オコナー氏)
Continent 8がNutanixへの大掛かりな移行を開始したのは2023年下半期だが、移行の準備はNutanixとの関係がスタートした2017年から進めていた。「2017年には8〜10社だったテクノロジーパートナーを2、3社へと絞った」とオコナー氏は語る。
移行時は、Continent 8のITチームや開発チーム、セキュリティチームなどを横断する組織を結成した。この組織が社内のアプリケーションやツール、仮想化環境の現状を評価および分析した。その後はまず、社内アプリケーションの移行から開始した。移行先となるグリーンフィールドサイト(ゼロからシステムを構築できる場所)をアイルランドのダブリンとカナダのモントリオールに定め、2都市にデータセンターを構築した後は、徹底的な移行テストを繰り返した。移行の際にはダウンタイム(停止時間)を最小限に抑えることを重視した。
オコナー氏はNutanixへの移行によるメリットを次のように述べる。「インフラを素早く構築できるようになり、構築のコストも把握しやすくなった。新しいサービスを迅速に展開できるようになった」
VMwareの永続ライセンスを契約していたがサブスクリプションモデルへの変更を余儀なくされたエンドユーザーの場合、「Nutanixに移行した結果、ライセンスコストが半分になったケースがある」とオコナー氏は述べる。
ただし、Continent 8はVMwareのパートナーであることは変わらず、エンドユーザーは以前と同様にVMwareを利用することができる。同社は引き続き、VMwareを利用したいエンドユーザーを支援している。
Continent 8はクラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)でもNutanixのインフラを提供している。「ライセンスを移行できるため、Nutanixによる仮想化基盤をプライベートデータセンターで構築してから、パブリッククラウドに移行できる」とオコナー氏は語る。
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