完全仮想化と準仮想化の違い【後編】
「完全仮想化」と「準仮想化」は結局どちらが優れているのか?
仮想化技術には大きく「完全仮想化」と「準仮想化」の2種類がある。仕組みや特徴が異なる技術だが、IT管理者はどちらを選ぶべきなのか。
仮想化には大きく2種類の方式がある。ハイパーバイザーで動作するゲストOSの中身に何も変更を加えないで動作させる「完全仮想化」(full virtualization)に対して、ゲストOSに変更を加えて性能向上を図る仕組みを「準仮想化」(Para Virtualization)と呼ぶ。両者にはそれぞれメリットとデメリットがある。どのような違いがあるのかを解説する。
「完全仮想化」と「準仮想化」の違いとは
併せて読みたいお薦め記事
連載:完全仮想化と準仮想化の違い
仮想マシンを適切に運用する
完全仮想化と準仮想化の重要な違い
完全仮想化は、ハイパーバイザーが物理ハードウェアを直接仮想化して、仮想マシン(VM)を提供する方式だ。この方式は後述する仮想化支援機能が普及するまで、転送速度などのパフォーマンスに課題があった。準仮想化はパフォーマンスの低下を軽減するため、ゲストOSとハイパーバイザーが直接通信することで、オーバーヘッド(余分な処理負荷)を削減する。
その他、準仮想化では以下のリスクがある。
- ハイパーバイザーとゲストOS間でVMの処理に関する指示(ハイパーコール)を交換するためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)に依存する
- ゲストOSのパッチやアップデートによって機能しなくなる
- 別のゲストOSへの切り替えが難しい
それに対して、完全仮想化は、ハイパーバイザー自体が事実上のホストOSとして機能するため、ハードウェアとゲストOSの分離を実現する。
ハードウェア支援による仮想化について
完全仮想化では、ハイパーバイザーによってメモリやプロセッサといった物理リソースを抽象化して、論理的なリソースとして扱う。つまり、ハイパーバイザーは物理リソースと論理リソースを変換するが、仮想化技術が登場した初期はこの変換作業にオーバーヘッドが生じていた。そのため、ハイパーバイザーが作成できるVMの数は制限されていた。
しばらくして、プロセッサに「VMごとにメモリを割り当てる」といった、仮想化専用の命令を追加することで、仮想化処理を高速化する「仮想化支援機能」が開発された。例えばIntelの仮想化支援機能「Intel Virtualization Technology」(Intel VT)やAdvanced Micro Devices(AMD)の仮想化支援機能「AMD Virtualization」(AMD-V)などがある。
完全仮想化と準仮想化:結論
最近のプロセッサには標準で、仮想化支援機能が組み込まれている。そのため完全仮想化に伴うパフォーマンスの低下は問題でなくなりつつある。完全仮想化は、VMが他のVMやホストOSから分離されるというメリットがあり、変更を加えず任意のOSを使用できる。それに対して、準仮想化は完全仮想化ほどの支持を得られず、近年は実験的なユースケースでの利用にとどまっている。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
2
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
8
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
9
AIをデータ保管場所の近くに置くと安全で経済的 それでも残る“破滅的リスク”
-
10
テレワークやBYODでリスクが拡大、デバイスの多様化を弱点としない管理方法とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー