社員が次々に辞めていく「有害な職場」に現れる“12の兆候”:離職を防ぐ職場づくり【中編】
従業員の離職が続く「大退職時代」の背景にあるのが、有害な職場環境の存在だ。従業員にストレスをもたらす有害な職場環境には、どのような兆候が見られるのか。
2021年頃から、米国では従業員の離職が続く「大退職時代」 (The Great Resignation)が到来した。その要因の一つは、“有害な職場環境”だ。有害な職場環境は、従業員にストレスを与え、時には燃え尽き症候群の原因にもなる。そうした職場環境には、どのような兆候が現れるのか。
有害な職場環境に現れる“12の兆候”
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有害な職場環境には、以下の兆候が見られる。
1.失敗が許されない
業務で失敗することを恐れるあまり、従業員のやる気が低下している状態は、有害な職場環境の兆候が表れている。上司が厳しく責任を追及すれば、従業員は失敗に対する罰を恐れる。従業員がコンフォートゾーン(居心地がよい状態)から一歩を踏み出すことを恐れ、新しい挑戦を避けるようになり、チーム全体の成長が損なわれる可能性がある。
2.信頼関係が欠如している
有害な職場環境では、従業員間の信頼関係が欠如している傾向がある。上司は従業員を信頼せず、頻繁に監視する。マイクロマネジメント(従業員の業務を細かく管理すること)をすることで、従業員は自身の能力を疑う。
3.従業員が担う役割が不明瞭
従業員が担う役割や責任が明確でない場合、従業員は不安を感じ、業務の遂行に支障をきたす可能性がある。責任の所在や業務分担について、同僚の間で対立が生じることもある。上司が従業員に役割を明確に伝えることで、このような対立を防ぐことができる。
4.過度なストレスを感じさせる
従業員は、上司との意見の相違、コミュニケーション不足、失敗への恐れなど、さまざまな理由でストレスを感じる。精神的なストレスは、疲労、睡眠障害、身体の痛みといった症状として現れることがある。
5.陰口やうわさ話がはびこっている
有害な職場環境では、うわさ話の内容が過激になりがちだ。明確なコミュニケーションを取らない代わりに相手をじろじろ見たり、陰口を言ったりする場合もある。職場でのいじめは、うつ病、燃え尽き症候群などを引き起こす可能性がある。うわさ話は従業員同士の対立も助長する。
6.離職率が高い
従業員の離職率が高いことは、職場にとって危険信号だ。給与が低い、昇進の機会が限られている、企業文化が未成熟など、離職にはさまざまな理由がある。勤続年数が長い従業員が少ないことが、有害な職場環境の兆候である可能性がある。
7.仕事と私生活の境界があいまい
有害な職場環境では、ワークライフバランスが崩れる傾向がある。上司が従業員に夜遅くまで残業をさせたり、勤務時間外でもメールの返信を求めたり、休日にも仕事をさせたりすると、燃え尽き症候群を引き起こす可能性がある。
8.他者をコントロールしようとする従業員がいる
相手に嫌がらせをしたり、うそを信じ込ませたりして、自身を責めるように仕向ける「ガスライティング」をする従業員がいることも、有害な職場環境の兆候だ。例えば、相手の耳に入るようにうわさを話す、感情表現を軽視する、仕事に直接関係する会議から特定の従業員を排除するといった行為がある。
9.キャリア形成の機会が乏しい
従業員の中には、キャリア形成を支援する体制が社内に整っていないと感じる人もいる。こうした従業員は、上司の指導を十分に受けられず、チームから孤立していると感じる場合がある。その結果、キャリアを進めるための次のステップを見つけることが困難になる。テレワークが普及する中、特に新入社員はチームメンバーや上司との関係構築が困難になっている可能性がある。
10.ネガティブな雰囲気が漂っている
モチベーションが低下した従業員がいれば、その影響は職場全体や他の従業員に及ぶ。上司はその根本的な原因を突き止め、ネガティブな雰囲気を作り出す悪循環を解消し、生産性が高い職場環境を整える必要がある。
11.休暇が取りづらい
従業員の中には、体調不良時、生産性が下がることに対して恥ずかしさを感じる人がいる。罪悪感から休暇の取得を避け、テレワークを申し出ることさえためらう。従業員が休暇を取る必要があるとき、正直に申し出ることができる環境を整えておくことが重要だ。
12.コミュニケーションが不足している
従業員が企業の目標や方針について十分な情報を得られていないと感じると、仕事への意欲や生産性が低下する可能性がある。
次回は、有害な職場環境を改善する方法を紹介する。
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