IT業界で進む大量解雇 アナリストが疑問視する“ベンダーの言い分”:人員削減の裏にある“期待”
ERPベンダーのWorkdayが従業員の8.5%を削減する計画を発表した。他のITベンダーもこぞって進める人材削減の動きについて、アナリストは“ある疑問”を呈する。
ERP(統合基幹業務システム)ベンダーWorkdayは、従業員の8.5%に相当する1750人を削減する方針だ。人員削減の動きは、業界全体のトレンドを受けたもので、他のITベンダーにも同様の傾向が見られる。一方、こうした動きについて、アナリストは“ある疑問”を呈する。
疑問視される“ベンダーの言い分”とは?
Workdayの投資家向け資料によると、2024年1月時点の従業員数は約1万8800人だったが、2024年10月時点では約2万400人に拡大していた。今回の人員削減によって、従業員数は約1万8650人に減少する見通しだ。
人事分野のアナリスト、ジョシュ・バーシン氏は、Salesforceなどのソフトウェアベンダーと同様、Workdayは「AIツールの開発や販売に人員をシフトしている」と指摘する。人員削減の理由の一つは、成長が見込まれるAI分野の人材を採用する必要があるためだ。ただし、同氏は「エンジニアリングと営業の人員を配置転換するのが健全だ」と述べる。
Workdayのカール・エッシェンバックCEOは、従業員に宛てたメールで「重要な戦略的分野と地域では、採用活動を継続する」と説明した。「世界中の企業が業務の進め方を見直している。AI技術に対する需要の拡大は、当社の新たな成長をけん引する可能性を秘めている」とエシェンバック氏は主張している。
調査会社Nucleus Researchのリサーチマネジャーであるエブリン・マクマレン氏は、Workdayの人員削減は、「ITベンダーがAI技術に投資し、競争が進んでいる」という業界全体のトレンドに従ったものだと述べた。
ただしマクマレン氏は、AIツールに対する顧客の需要は、ベンダーが主張するほど増大しているのかを疑問視する。「一部の大企業は関心を示していても、セキュリティの懸念と社内ポリシーを踏まえ、全面的な導入をためらっている」と同氏は指摘する。
それでも、AIツールの需要があるということは、「ベンダーの投資は避けられない選択」だ、とマクマレン氏は言う。
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