「州別AI規制」は統一されるのか 米国でのAI活用に欠かせない“生存戦略”:AI規制法乱立の課題と対処【後編】
米国では一部の州がAI規制法の制定を進め、AI規制法が乱立している状態だ。一方、連邦政府はAI規制を緩和しつつある。連邦政府がAI規制法を制定する日は来るのか。企業が取るべき行動とは。
さまざまな国や地域が、人工知能(AI)技術に関する規制法の整備を進めている。米国で事業を展開する企業は、州ごとに定められたAI規制法を順守しなければならない。全米で統一的なAI規制法の制定を連邦政府に求める声はあるものの、なかなか進んでいないのが現状だ。企業は各州や連邦政府の動向を注視しながら、どのような準備をすればいいのか。専門家の意見を紹介する。
連邦政府がAI規制法を制定する日は来るのか
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連載:AI規制法乱立の課題と対処
米国政府のAI規制動向
調査会社Gartnerのアビバ・リタン氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント兼アナリスト)は、連邦政府が統一的なAI規制法を制定することには期待していない。記事執筆時点で、米連邦議会上院のチャック・シューマー院内総務といった議員が数カ月にわたってAI規制法について議論しているものの、包括的なAI規制法案は提出されていないためだ。
AI規制法の乱立に企業はどう備える?
調査会社Forrester Researchのシニアリサーチアナリスト、アラ・バレンテ氏は、企業が新たなAI規制法に備えるためには、AI技術の使用で生じ得るリスクの管理や、倫理的なAI技術の利用といった取り組みを実践することが有効だと述べる。そのために、国立標準技術研究所(NIST)が提供する、生成AI(テキストや画像などを自動生成するAI技術)のリスクと対策をまとめた資料「AIリスク管理フレームワーク」(AI RMF)を使うのも一考だ。
「各州が新たなAI規制法を制定した際に、企業はすでにその規制を順守し、基準を満たした状態にしておくのが理想だ。そうすることで、変更への対処や変更内容の管理といった負担を最小限に抑えることができる」。バレンテ氏はこう語る。
AI関連の州法案を継続的に監視し、法律が施行された際にすぐ対処できるようにするだけではなく、消費者のプライバシーやセキュリティに関する法律についても十分に理解しておく必要があるとバレンテ氏は指摘する。米連邦取引委員会(FTC)や米司法省(DOJ:Department of Justice)といった機関は、AI技術の利用に関して既存の法律を適用する意思を明確に示しているからだ。
「現時点で、法規制を順守せずにAI技術を活用している企業は一定数存在する」とバレンテ氏は警鐘を鳴らす。
リタン氏は、企業が州ごとのAI規制法に対応するためには、予算を確保し、法令順守を管理する部門の設置が必要だと助言する。「AI技術の導入にはリスクが伴う。導入する前に、体制を整えることが重要だ」(同氏)
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